家主はスパイ?Airbnb物件に設置された隠しカメラ

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民泊施設で見つかった隠しカメラに関するニュースを見聞きしたことはないだろうか? 不安を解消できるよう、隠しカメラを見つけ出すためのヒントを紹介する。

この記事は、ESET社が運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「Welivesecurity」の記事を翻訳したものである。

家主はスパイ?Airbnb物件に設置された隠しカメラ

テクノロジーの発展のおかげで、多くの人にとって旅行はより速く、より安く、より効率的なものとなった。スマートフォン(以下、スマホ)アプリを用いて航空券を予約し、オンラインでチェックインを行い、言語の障壁さえも越え、迷子にもならない。予算を抑えた旅でも、家族や恋人同士でのんびりする場合でも、滞在先を探すのはかつてないほど容易になり、旅行の在り方そのものが変わってきた。

しかしテクノロジーの発展は、同時にプライバシーへの新たなリスクをもたらしている。近年、悪質な行為によって夢の休暇を台無しにされた旅行者もいる。Airbnbなどの民泊プラットフォームを介して予約した物件から隠しカメラが見つかる事件があったのだ。

確かに、これは恐怖心を煽ったり、悪評を広めたりすることを意図しているわけではない。旅行の際には、Airbnb詐欺旅行で一般的に気を付けるべきリスクについて注意するべきであるからだ。ここで指摘したいのは、今や監視用ガジェットがますます手頃な価格になってきている点だ。そして何より、このようなガジェットは小さく、日用品に溶け込むように作られているため、発見しにくいのだ。

プライベートな空間をカメラで覗かれているのかどうかを心配する人が多いのも無理はない。こうしたリスクが注目されるにつれ、借りた物件の寝室や浴室に隠しカメラが見つかった、という恐ろしい体験談をソーシャルメディアでシェアするAirbnbユーザーもよく見られるようになった。

私は監視されているし、皆も監視されている

隠しカメラが関わる実際の(知られた)事件はあまりないように思えるかもしれないが、現実には発生している。以下では、ここ数年で起きた事例を紹介する。

  • 2017年、インターネット活動家Jason Scott氏は、あるAirbnb物件で盗難防止用動作検知器の中で見つけた、インターネットに接続できる隠しカメラの写真をツイートした。
  • 2018年、恋人と滞在していたグラスゴーの旅行者が、借りた物件の部屋にあるデジタル時計の中に隠しカメラを見つけた。滞在先であるトロントの警察に届け出たところ、物件の所有者はほかに6つの物件を持っていた。
  • 2019年、ニュージーランド出身のITセキュリティ専門家が、アイルランドのコークにある物件で、AirbnbのWi-Fiネットワークをスキャンしたところ、隠しカメラからライブ配信されていることに気づいた。
  • 2022年、あるAirbnbユーザーが恋人と浴室から出る際にクリック音が聞こえたため、調べてみたところ、隠しカメラを見つけた。浴室で何らかの動作を検知した際、自動的にカメラで撮影し、その画像を所有者のデバイスへ転送するよう設定されていた。
  • どんな物件にもリスクがある点は指摘しておきたい。韓国のモーテルでは1,600人の利用者が密かに撮影され、有料購読者に向けてオンラインでライブ配信されていた。

常に監視されているのだろうか?

物件管理サービス企業IPX1301が2019年に実施した調査によると、米国のAirbnbユーザー2000人のうち大多数(83%)は、物件の所有者を信頼していると回答した。これ自体は悪くない結果だ。一方で、半数以上(58%)のユーザーは、物件にある隠しカメラの可能性について心配していると回答している。加えて、11%はAirbnb物件で隠しカメラを見つけた経験があると回答したのだ。

今やこの数字は、実際に物件から隠しカメラが見つかった件数とは乖離しているかもしれない。事実、プライバシー侵害に関する心配(そして調査結果)は、それを裏付けている。

問題を複雑にしているのは、物件の所有者の中には、合法的(つまり完全に開示されている)な防犯カメラの映像を利用者の氏名とともにソーシャルメディアで公開し、利用者に対する不満を爆発させている者もいる点だ。Facebookが、このような活動を行う数千人のメンバーを抱えるグループを閉鎖したのは2019年のことだ。

Airbnbの見解

民泊のリーダー企業であるAirbnbは、隠しカメラ事件で多くの非難を浴びた。ユーザーからの苦情に対して、同社の対応が遅れた点を指摘する報告もある。

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hci.social/@jbigham

最近、シアトルで滞在したAirbnb物件の画像を見てほしい。何か気になる点はないだろうか?
何か気づいたのなら素晴らしい。Airbnbは、この画像が問題ないと判断したのだから。

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この件に関するAirbnbの方針は明確である。防犯カメラや音声記録デバイスが許可されるのは、「物件の説明文で明確に開示され、他者のプライバシーを侵害しない場合」に限られる。

カメラやその他の記録用デバイスは、物件の説明文で開示される必要がある(Airbnb物件から2つの例)

カメラやその他の記録用デバイスは、物件の説明文で開示される必要がある(Airbnb物件から2つの例)

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ホーム・セキュリティ

  • 物件に設置された防犯カメラ
    • 建物の外側に防犯カメラが設置されているが、室内やプライベート空間には設置されていない

ホーム・セキュリティ

  • 物件に設置された防犯カメラ
    • 廊下と駐車場(アパートの外)

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言い換えると、以下の事項は禁止される。

  • 共有スペースを監視するよう設置された「隠された非公開のデバイス」。こうしたデバイスは「見えるように設置され、物件の説明文で開示されている」必要がある。
  • 寝室、浴室、ソファーベッドを含めた就寝スペースのように、プライベートな空間を監視するよう設置されたデバイス。「電源がオフになっていて、インターネットに接続されていないデバイスは、利用者に対して事前に開示されている限り許可される。」

全世界に700万件以上の物件が登録されている中、同社にとってすべてのルールを検証するのは極めて難しい。つまり、利用者は自主的に確認し、自分の手で問題を対処しなければならない可能性がある。後になって隠しカメラを見つけるのが極めて不愉快であることを考慮すると、少なくとも怪しい物件を避け、問題に巻き込まれないよう知識を備えておいてほしい。

隠しカメラを見つける方法

滞在先のAirbnb所有者があなたを監視している可能性は低いかもしれないが、プライバシーを保護する方法を真剣に考えるよい機会だろう。ジェームス・ボンドの気分になって隠しカメラを発見するには、以下のヒントを参考にしてみてほしい。

  • 物理的に部屋を確認する:古いやり方が最適な場合もある。時計、煙探知機、スピーカー、電球といった、よく見える場所に隠されたカメラを探してみよう。ベッドやシャワーに向けられた疑わしいデバイスがあれば、詳細な調査が必要となる。
  • 懐中電灯を用いる:カメラのレンズはガラス製で、光を反射する。照明を落として物件の周囲を懐中電灯で照らし、家電や家具に何か隠されていないかを確認する。
  • 暗視ライトを確認する:照明を落としてみると、暗視カメラで照らされる赤色または緑色のLEDの光が見つかるかもしれない。極めて小さいため、ゆっくりと細かく物件を調べた方がよい。
  • アプリを用いる:日用品に紛れた隠しカメラを見つけるのに、スマホのToF(Time-of-Flight)センサーを活用したモバイルアプリを開発する研究者もいる。脆弱性に加え、接続されたデバイスを検出するのにネットワークをスキャンするアプリや、その他のソフトウェアもある。ただし、最近の物件ではスマートホーム機器を備えている場合も少なくないため、無害なデバイスと疑わしいものを見分けるのは容易ではない。加えて、ユーザーを監視するのに物件内の異なるネットワークを用いる所有者もいる。また滞在中は、隣人のWi-Fiネットワークをスキャンしてはならない。
  • 無線信号を検出する:隠しカメラのわずかな兆候を見つける最後の方法として、無線信号の検知が挙げられる。カメラが隠されたネットワークに接続している可能性があるからだ。このような信号を検出するデバイスもあるが、極めて高額だ。代替手段として、家族や友人に電話をかけて、物件の中を歩き回る方法がある。隠しカメラは携帯電話の電波を妨害する可能性があるため、立ち止まって調べてみるとよい。

見つけたもの(あるいは、見つけなかったもの)に応じて、その次のステップが決まる。警察に届け出る、Airbnbに通報する、退去して返金を要求する。心配事がなくなったら、安全な滞在を続けてほしい。

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