データ損失への備えはできているか?

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データに問題が発生した際、もしバックアップをとっていなければ、大切な思い出を失くしたり、締め切りに間に合わなくなったりと、その影響は計り知れない。

この記事は、ESET社が運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「Welivesecurity」の記事を翻訳したものである。

データ損失への備えはできているか?

デジタルの世界においては、大切なデータを失うのは誰にでも起こり得る最悪な出来事の一つだろう。学校の宿題のように締め切りが迫る大切なプロジェクトで、期限内に提出しなければならない重要なデータを失ってしまうケースを想像してみてほしい。また、助成金の申請に必要な書類、あるいは請け負ったフリーランスの仕事などでも考えられる。

3月31日は世界バックアップ・デーとして知られている。この記念日は、データ損失が人々に多大な損害を与えているという事実を認識し、それらへの備えを促すことを目的としている。本記事では、データ損失が発生した際にバックアップを取得していなかった場合のリスクを分析し、それらの対策について解説したい。

データ損失は、どのような影響を与えるか?

締め切りがタイトなプロジェクトにおいて、バックアップされていない重要なデータを失ったケースについて考えてみよう。奇跡的にデータを復元するか、状況を調べて編集したり、書き直したりする時間を費やす必要がある。最終的に生産性の低下につながり、成果物の品質を下げてしまうかもしれない。失われた時間を取り戻すことはできず、期限に追われ、結果的にせっかくのチャンスを逃してしまう可能性もある。このようなチャンスは、そう何度も巡ってこないものだ。

データ損失の影響は、どのようなデータを失ったか、あるいは、どの時点で失ったかによって変わってくる。大切なデータを定期的にバックアップしていれば、バックアップから失ったデータを復元した後に中断していた作業に戻るだけで、ほとんどのストレスや頭痛は回避できただろう。仕事に不可欠なデータを失っただけでなく、大切な思い出を収めた写真や映像を失ってしまった場合、その損害はさらに深刻なものだ。プロポーズの瞬間や子供の頃の思い出、あるいは亡くなった家族の写真まで、さまざまなものがある。

データ損失は、どのように発生するのか?

大切なデータを失うケースとしてはいくつかある。回避できるものもあれば、対策を講じるのが難しいものもある。デバイスがマルウェアに感染する場合も、データを損失してしまう一つの例だ。マルウェアの種類によっては、コンピューターの情報が完全に消去されたりデータが破損する、あるいはランサムウェアの場合はデータがロックされてしまうことがある。基本的な機能を搭載したセキュリティソリューションを導入し、サイバーセキュリティのベストプラクティスを適用していれば、マルウェアによるデータ損失は回避可能だ。

一方、その対極にあるのが、予測できない事件や事故だ。デバイスが盗まれる、液体をこぼして物理的に損傷してしまう、あるいは高い場所から落としてしまう、といった例も挙げられる。物理的損傷に加え、経年劣化やハードディスクの過熱に起因した特定部品の欠陥により、デバイスが故障することも少なくない。
また、停電もデータ損失の原因となり得る。デスクトップ・コンピューターで作業していた場合は、作業中のデータが一瞬で失われる可能性もあるだろう。さらには、意図せずに重要なデータを削除してしまったり、デバイスのデータを完全に消去してしまったりするヒューマンエラーも考えられる。

バックアップがない場合、どうしたらよいか?

意図せずにデータを削除してしまった場合は、電源は落とさないまま、すぐに作業を止めてほしい。バッテリーで稼働する機器であれば、電源に接続する。そして、すべてのネットワーク接続を無効化しよう。「機内モード」のような機能があれば、それを有効化した上でスリープ状態にする。

ただし、誤って液体をこぼしてしまった場合は、すぐに電源を落とし、乾いた布で速やかに拭き取る必要がある。外部メディアが接続されている場合は、プラグを抜いて乾かす。それらが完全に乾くまでは、数日かかるだろう。液体による損傷の度合いによっては、専門のサービスに依頼する必要があるかもしれない。

幸い、上述の事態が発生した場合であっても、まだ希望はある。データを復元する方法もいくつかあるからだ。ランサムウェアに感染していた場合は、セキュリティ会社が開発したフリーの復号化ツールを利用できる。また、ランサムウェア対策として開発された復元ソフトウェアによってデータを復元できる場合もある。これらのツールは、デバイスあるいは部品の製造元から提供されている。あるいは、特定のOSやデバイスに特化したサードパーティ製のソフトウェアを利用できる場合もある。

自力で復元できなかった場合や、手に負えないと感じた場合は、データ復旧の専門家に頼る方法もある。ただし、データを取り戻すのに数百~数千ドルを要するため、最終手段であると考えておこう。また、自力で復元を試みて失敗した場合、専門家が復元できる可能性を下げてしまう点には注意したい。

デバイスの種類や、損傷の度合いによっては、遠隔からデバイスに接続してサポートするサービスもある。また、デバイスを復元サービスに持ち込むか、発送する方法も考えられる。このようなサービスを利用する際には、速やかに連絡したいところだ。データ損失の状況に応じて、どうするのが最も良いかのアドバイスを受けられる。

おわりに

確実に言えることは、「予防は治療に勝る」ということだ。失われたデータを必死になって復元しようとするよりも、定期的に重要なデータをバックアップし、いつでも問題発生前に戻れるようにしておくことが、より望ましい。バックアップを計画する際には、大切な思い出や重要なデータを保存した複数の記録媒体を用意しておくと良いだろう。

ベストな方法は、必要なときにいつでもデータを取り出せるクラウドサービスや、外付けドライブのような物理メディアなど複数の形式のストレージを組み合わせておくことだろう。データを保存する際には必ずデータを暗号化しておくことを推奨する。万が一、クラウドのバックアップや外付けドライブが盗まれた場合でも、データが保護されるからだ。

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