アカウントを保護する方法から自分の「いいね」済みコンテンツが見られる人を制限する方法まで、TikTokを利用する際のセキュリティ向上とプライバシー確保について紹介する。
この記事は、ESETが運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「Welivesecurity」の記事を翻訳したものである。
TikTokは2017年にリリースされて以降、若者を中心に絶大な支持を集め、主要なソーシャルメディアと並び称されるようになった。世界150か国以上に数億人のアクティブユーザーを抱える。毎日、数百万人のユーザーが動画を作成・共有・視聴したり、ユーザー同士で交流したりして、このアプリを楽しんでいる。インフルエンサーになるのを夢見るユーザーもいるほどだ。
TikTokが話題に上ったのはその人気だけではない。インドで利用が禁止されたり、米国政府がその親会社であるバイトダンス社との取り引きを制限したことも背景にある。また児童オンラインプライバシー保護法に違反したとして、米国連邦取引委員会から罰金を科された。さらに韓国でも、児童に関するデータの取り扱いに不備があったとの指摘を受けている。
TikTokのユーザーは、他のソーシャルメディアと同様、スパムや詐欺、ネットいじめに頭を悩ませている。そこで本記事では、アカウントを保護し安全にアプリを楽しめるよう、TikTokのプライバシーやセキュリティの設定方法について解説したい。
TikTokアカウントの保護
TikTokでアカウントを作成する際には、シングルサインオンに加え、電話番号やEメールによる認証が選択できる。アカウントの管理は極めてシンプルで、設定は「アカウント管理」のメニューから行える。
TikTokでは、登録した電話番号にテキストメッセージを送信するか、Eメールを使うことでアカウントの認証ができる。より安全性を高めるため、その両方を利用することも可能だ。また、パスワードを追加するにはテキストメッセージで再度、認証を行わなければならない。セキュリティを高めるために配慮されているといえるが、他の著名なSNSが提供するような二要素認証がない点を指摘しておきたい。
以上の一般的な設定に加え、同じメニュー内から「セキュリティ」の設定が行える。アカウントのログイン履歴など、セキュリティ上で重要な情報が確認できる。加えて、TikTokにログインしている全てのデバイスを監視できる。具体的には、ログインしているデバイス、Facebookアカウント等のログイン方法、そして、ログインした時間だ。身に覚えのないデバイスがあれば、メニューからそのデバイスを選択し、削除を押すことで強制的にログアウトさせられる。
プライバシーの設定
「プライバシー」の設定は、アカウントに関する権限やアクセスを一括で管理できる。アカウントを作成した時点では、デフォルトで誰からもフォロー可能な公開アカウントになっているが、「見つけやすさ」セクションから非公開に変更することも可能だ。また自身のアカウントを、他のユーザーにレコメンドさせるかどうかの設定もできる。
プライバシー設定に関しては、TikTokは多面的なアプローチをとっているといえる。例えば、2020年8月の時点では試験運用ではあるものの、投稿した動画を他のユーザーがダウンロードできないように設定できる。しかし、画面のスクリーンショットをとってしまえば、動画のダウンロード制限を回避できてしまう点は考慮しなければならない。
TikTokでメッセージのやり取りを行うには、相互にアカウントをフォローし合う必要がある。このアプリでは相互にフォローし合うことではじめて、それらのアカウントを「友だち」として扱うようになるからだ。スパムや攻撃的なメッセージは他のソーシャルメディアでも多数見られるが、やり取りする相手を選ぶことで、そのリスクを軽減できる。一方で、多数のユーザーをフォローすれば、スパムメッセージを受け取るリスクは高まるだろう。このリスクを軽減するために、ダイレクトメッセージを完全に無効にしてしまう方法もある。それでもダイレクトメッセージを使いたい場合は、好ましくないユーザーを個別にブロックすることも可能だ。ブロックしたユーザーは、ブロック済みのアカウントで確認することもできる。
TikTokには他のユーザーの動画と自身の動画を組み合わせる「デュエット」機能があるが、この機能の設定も変更できる。全てのユーザーに許可する、友だちに限定する、許可しない、の中から選択可能だ。
TikTokでは、もう一度見たいと思える動画に「いいね」を押すことができる。「いいね」を押した動画は、プロフィール画面の「いいね」動画のセクションにまとめられるが、プライバシー設定によって、この動画リストを他のユーザーが閲覧できるようにするか、非公開にしておくかの選択も可能だ。
コメントをどうするかについても、ユーザー側で設定できる。完全に無効にするか、友だちに限定するか、全てのユーザーに許可するかが選択可能だ。さらに、スパムや不快なコメントを自動的にフィルタリングする機能も提供されている。特定のキーワードを登録し、それが含まれたコメントを自動的に非表示にさせることで、フィルタリングの性能を強化できる。
動画をアップロードする前、あるいはアップロードした後でも、個別の動画に対し、デュエットやコメントの可否、動画の公開・非公開のプライバシー設定ができる。
おわりに
今回はTikTokのプライバシーやセキュリティ設定について参考となる情報を紹介した。しかし、他のSNSと同様、プライバシーやデータの取り扱いについては改訂がなされることも多く、今回紹介した設定も大きく変更される可能性がある。そのため、セキュリティとプライバシー設定については定期的な見直しをお勧めする。また、この機会にTikTokだけでなく、FacebookやGoogleについても、アカウントの設定を見直すといいだろう。
子供を持つ親であれば、TikTokがどのようなペアレンタルコントロール機能を提供しているか、興味を持っているかもしれない。この話題については、こちらの記事を参照してほしい。