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オンライン上で繰り広げられる「ロマンス詐欺」、「セクストーション」の手口

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「バラは赤く、スミレは青い、~(Roses are red, violets are blue..)」という決まり文句から始まる口説きのメッセージ。ある日送りつけられてくる一通のメッセージからロマンス詐欺は幕を開けることになる。世界中で繰り広げられるオンライン上のロマンス詐欺やセクストーションの手口と防衛策を紹介していく。

この記事は、ESETが運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「Welivesecurity」の記事を翻訳したものである。

オンライン上で繰り広げられる「ロマンス詐欺」、「セクストーション」の手口

デートアプリや仮想空間上での出会いを提供するオンラインデートサービスは、今や世界中で当たり前のように利用されている。グローバルウェブインデックス社の調査によると、米国や欧州ではこのようなアプリやデートサイトの利用は約28%だが、ラテンアメリカ及びアジア太平洋地域ではおよそ45%にのぼる。

調査結果では、独身男性の40%以上が直近でアプリやデートサイトを使用していることが明らかになっている。さまざまなデートアプリがあり、世界中で利用されているものもあれば、複数の国でしか利用されていないものもある。そして、国によっては多くのユーザーが利用しているものもある。現在最も著名なアプリはTinder及びHappenの2つで、それぞれ5,000万以上のユーザーが登録しているとされる。

これらのアプリやサイトは、ユーザーの人生に素晴らしい幸せをもたらす可能性がある反面、負の側面があることも否めない。これらのサービスにはびこる詐欺師は自身の目的達成のためにこれらを悪用し、心理的にも金銭的にもユーザーにダメージを与えるのだ。

詐欺師の手口はさまざま

詐欺の方法はさまざまだが、犯罪者はほとんどの場合、ターゲットとするユーザーの仕事内容、収入、ライフスタイルなど個人のプロフィールをくまなくチェックし、個人情報を収集する。デジタル全盛のこの時代では、犯罪者は個人情報の管理が行き届いていない状況を逆手に取り、ターゲットの詳細なプロフィールを作り上げることができるからだ。

最も一般的な方法は、犯罪者が感情的に被害者を丸め込み、金銭やギフト、個人情報などを送らせるというものである。そのほか、よく見られる詐欺としては、セクストーションがある。これは通常、知り合った当初は一般的な関係が築かれるが、しばらくすると詐欺師はWhatsAppのようなデートプラットフォーム外でのコミュニケーションを求めるようになる。この段階で、詐欺師はターゲットに対しわいせつな写真や極めてプライベートな動画を送るよう交渉する。そして、手に入れた性的な画像や動画をネタとしてターゲットを脅しに掛かるのだ。

例えば、米国で2019年1月にこの種の詐欺の被害者となった男性がいたが、これは、2018年にチリで報告された事例と同様の手口が用いられていた。この事例では、詐欺師は自分を未成年の女性と偽ってオンラインデートサイトでこの被害者と出会い、一定の信頼関係を築いた後にプライベートな写真を送るよう要求した。この被害者が写真を送るやいないや、父親を名乗る男からメッセージが届いた。その内容は、30ドルの「(プリペイド) マネーカード」を2枚送らなければ、子どもにわいせつな画像を送りつけたことを訴える*1との脅迫だった。この被害者が警察に届け出た後、この訴えがでっち上げであったことが明らかになった。

別の詐欺としては、「キャットフィッシング」として知られるものがあり、これは詐欺師がインターネット上の偽の人物像を作り上げ、被害者を誘惑して関係を持つものである。

*1 アメリカにおける「1996年通信品位法 (Communication Decency Act of 1996)」を根拠にしたものと考えられる。以下リンクも参照のこと。
https://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h26/gaikoku_html/2_1_3_1.html

オンラインデートに関する詐欺は世界各国で起きている

オーストラリアでは2018年の一年間で、ソーシャルネットワークを通じたオンラインデート、デートアプリ、またはデートサイトに関連する詐欺が3,981件報告され、2,400万オーストラリアドル(約19億円)以上の損失に及んだ。オーストラリア競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission)の報告によると、2019年は1月末までで349件が報告され、100万オーストラリアドル(約7,800万円)以上の損失となっている。

イギリスでは、全国不正行為情報局 (National Fraud Intelligence Bureau:NFIB)が2017年には、オンラインデートに関連する詐欺が平均で3時間に1件報告され、アクションフラウド(Action Fraud)による直近のデータでは、2018年全体で4,500件のオンライン恋愛詐欺が報告されており、被害に遭ったうち63%が女性であるとBBCが報告している

「ロマンス詐欺」など世界中の事例から共通の手口が見えてくる

2018年には「Tinderの王」と称する男が逮捕され、スペインの複数のメディアでヘッドラインを飾ることとなった。他の詐欺師と同様に、この詐欺師は、TinderやMeeticのようなデートアプリ経由で被害者と知り合い、信頼関係を築き上げる。その後、自身の「家族」に関する架空の話を切り出し、被害者に送金を促した。

カナダでは「ロマンス詐欺」の結果、老後の貯金を崩し、さらには自分の家を抵当に借金をした年配男性が話題となった。妻に先立たれたこの67歳の男性は、ソフィア・ゴールドステイン(Sophia Goldstein)と名乗る詐欺師にオンラインデートサイトMatchを通じて知り合った。知り合ってしばらくすると、カナダ人であると主張するこの詐欺師は、捏造したトラブルの解決に必要という名目でたびたび金銭を要求するようになった。最終的に、彼は亡くなるまでの8か月間で、合計19回にわたりマレーシアにある詐欺師の口座に73万カナダドル以上(約6000万円)を送金していた。

ラテンアメリカでも事件は起こっている。2017年には、アルゼンチンのメディアがTinderを使用した詐欺を報告している。複数の事例を調査した後に発覚したこととして、被害者となったユーザーは、真剣な交際を求めながらも住んでいる場所とは遠く離れた人物から接触を受けていたとメディアは報じた。(編集部注:真剣な交際を求めるのに遠く離れた場所の相手にアプローチするのは行動として矛盾する、という前提)

これまでの報告によると、これらの事例では同じ手口が使用されていた。魅力的な女性を装う詐欺師が自身の誘惑的な写真を被害者に送りつけ、ターゲットの興味を引く。そして詐欺師は次の段階で、ターゲットの電話番号を聞き出し、コミュニケーションを重ね信頼を築き上げる。仕上げの段階では、実際に直接会った時に「借金」を返済するという名目でターゲットにお金を送るよう依頼する。

恋愛詐欺に引っかからないために気をつけたいこと

オンラインデートサイトやアプリを利用する際には、誰もが騙される可能性があることを肝に銘じる必要がある。利用にあたっては以下の注意事項を頭に入れておくと良いだろう。

  • 矛盾に気づく:矛盾に気づいたら注意する
  • 詐欺師はターゲットに対してオーバーすぎるほどの恋愛感情を示し、「出会って」からの行動が早い
  • 詐欺師は、使用されているプラットフォームやアプリ上でのコミュニケーションを短い期間のうちにメール、スカイプあるいはメッセージアプリなど別のツールに移行させようとする。これは、通常のデートサービスやアプリにはユーザーを騙そうとする手口を監視する詐欺検知システムが採用されているからである
  • 数週間から数か月の時間をかけて一定の信頼を確立してから、詐欺師は非常に手の込んだ話を伝えてきて、金銭、ギフトなどの送付を要求するのが一般的な手口である。個人的な関係性を築くまで、オンラインデートで知り合った人物には決して金銭を送るべきではない
  • 何かしら口実をつけて実際に会うことを避ける人物は信頼すべきではない
  • 個人的にその人物を知らない場合は特に、写真や動画、住所や勤め先、その他電話番号など自分を危険にさらす可能性のある情報を共有するべきでない
  • オンラインで出会った人物と実際に会う場合は、必ず安全な公共のスペースで会うように設定する
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