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Web3.0(Web3)
読み方: うぇぶさんてんぜろ(うぇぶすりー)

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ブロックチェーン技術などを利用した次世代の分散型インターネット


Web3.0(Web3)とは、2014年にイーサリアムの共同設立者であるギャビン・ウッドによって提唱されたもので、従来からの中央集権型ではなく、分散型で構築されるWebシステムとそれらで構成されるエコシステムのことを指す。その基幹技術となるのがブロックチェーンだ。

なお、ギャビン・ウッドはWeb3という表記を提唱していた。当初、Web3.0はW3Cのティム・バーナーズ・リーが提唱したセマンティックWeb、すなわちコンピューターが自律的に情報の収集や判断が可能となるWebのことであったが、この概念が一般的に普及しなかったことから、Web3.0とWeb3が同一視されるようになっている。なお、デジタル庁ではWeb3.0という表記を採用しているが、中身はWeb3そのものであるため、ここではWeb3.0とWeb3を同じものとして扱う。

図1:Web1.0、2.0、3.0の違い

図1:Web1.0、2.0、3.0の違い

Web3.0では、プラットフォーム企業の存在を想定しておらず、ネットワークの参加者が相互に接続し合ったP2Pのつながりを基本とする。特定の管理者に依存するのではなく、ネットワークの参加者それぞれが分散してデータを保持する、いわば民主的なネットワークである。こうしたWeb3.0の概念を実装するための代表的な技術がブロックチェーンである。ブロックチェーンはデータの取引記録をネットワーク参加者同士で分散した台帳に記録するため、管理者が不要となる点が画期的とされる。

Webのこれまでの歴史とその問題点

Webは1989年にCERN(欧州原子核研究機構)のティム・バーナーズ・リーによって考案され、試験的な実装を経て、Windows 95の発売以降、爆発的に利用が広がっていった。こうした初期のWebは後年、Web1.0と呼ばれるようになるが、情報のやり取りが一方通行というのがこの時期のWebの特徴だ。Web上のコンテンツも静的なものが主流であり、企業のコーポレートサイトやポータルサイト、個人用ホームページなど、あらかじめ作りこまれたコンテンツをほかのユーザーが閲覧するというのが主な使い方であった。

2000年代に入ると、さまざまな事業者がブログサービスを開始するなど、ブログブームが起こった。また、ブログに加えて、口コミや動画を投稿する個人ユーザーも増加。ユーザー生成コンテンツ(UGC:User Generated Content)という言葉も生まれ、その投稿量は飛躍的に増大していった。また、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSの普及により、ユーザー同士の相互交流、タグ付けしての情報整理といった使い方も広まった。このような双方向性を持つようになったWebのことはWeb2.0と呼ばれる。

Web2.0の普及を経て、多くのユーザーがWebを利用するようになったが、その反面、GoogleやAmazon、Facebookなど、一部のプラットフォーム企業に住所や年齢、性別などの個人情報が集中することが問題視されるようになってきた。これらの企業は世界的に利用されているサービスを展開しているため、世界中の人々の個人情報を独占的に集めることができ、プライバシーの観点から望ましくないという意見も出てくるようになった。

また、個人情報を保管するためのサーバーがサイバー攻撃で狙われるといったセキュリティ上のリスクが顕在化している。そうしたリスクは、大手企業だけでなく中小企業にも及ぶようになっており、企業の規模を問わず、セキュリティ対策の必要性はますます高まっている。

Web2.0の問題点を解決するWeb3.0

Web2.0までの時代におけるWeb利用時の大きな問題点として挙げられる、「プライバシー問題」と「サイバー攻撃のリスク」について、Web3.0ではブロックチェーン技術を応用する。NFTとして個人情報を保管することで、取引時に個人情報自体を開示する必要性がなくなる。そのため、結果としてプライバシーが保護されることになるのだ。また、NFTを介してさまざまなサービスを利用することになれば、将来的にサイバー攻撃による情報漏えいが起こらなくなるという未来を描くことも可能だ。

Web3.0は総称的な概念として扱われてきたが、近年新たなサービスへと結実している。先述のNFT(非代替性トークン)はデジタル資産に価値を与え、唯一性を担保するサービスであるが、ほかにも低コストで金融サービスを提供する「DeFi」(分散型金融)などが挙げられる。Web3.0は未だ道半ばであるが、今後の概念の浸透と歩調を合わせ、さまざまなサービスの展開が見込まれている。

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