インターネットに接続する各機器の固有の住所を明示する情報
グローバルIPアドレスとはインターネット上で一意に割り当てられるIPアドレスのこと。パブリックIPアドレスともいわれる。IPアドレスはインターネットに接続する各機器の住所のようなものであり、データの送受信を行う際に参照される。IPv4の場合、「0~255」までの10進数の数字を「.(コロン)」で結んだ4つの数字で指定され、基本的に重複するアドレスは存在しない。従来型のプロトコルであるIPv4はデータの長さが32ビットであるため、IPアドレスの総数は約43億個に限られる。その枯渇を防ぐことを目的に、IPv6の普及が進んでいる現在でも、グローバルIPアドレスとLANなどのネットワークで利用するローカルIPアドレス(プライベートIPアドレスともいう)の2つを併用する方法が用いられている。
インターネットサービスプロバイダー(ISP)などから付与されるグローバルIPは「変動グローバルIP」と「固定グローバルIP」の二つに分けられる。一般的なユーザーがISPから割り当てられるのは変動グローバルIPであり、順次変更される。一方、ISPから付与されるグローバルIPでも、サーバー用途などでの利用の場合は利便性のために固定グローバルIPとなる。
サイバー攻撃に悪用されるグローバルIPアドレス
近年、グローバルIPアドレスが攻撃を補助する情報として攻撃者を利するようなケースがある。グローバルIPが割り当てられている機器はファイアウォールなどを介さず直接インターネットに接続されているため、攻撃のリスクに晒される。攻撃者がグローバルIPアドレスを特定してしまえば、大量のパケットを送り付けるような攻撃が可能となってしまうのだ。例えば、2018年にはバンキング型マルウェアのばらまき型メールにグローバルIPアドレスが悪用されたことがわかっている。攻撃者はグローバルIPアドレスによって居住地の識別とターゲットの絞り込みを行っていたとされる。
一般的なユーザーの場合、ISPから付与されるのは変動グローバルIPアドレスだが、一度特定されてしまうと、変更のタイミングまで攻撃のリスクに晒されてしまう。そのためにも、ルーターなどインターネットに接続する機器についてはファームウェアを常に最新に保つなど、脆弱性を抱えないための対策が重要といえる。