TCP/IPネットワークに接続して利用する外部記憶装置
NASとは、「Network Attached Storage」の頭文字を取ったもので、TCP/IPネットワーク経由で接続する外部記憶装置を指す。ハードディスクやSSDなどの記憶装置、ネットワークインタフェース、CPUといったハードウェアに、OSやファイル管理システムを搭載したアプライアンスであり、複雑なシステムを構築することなく、ファイル共有やバックアップなどに利用できるのが特長。その手軽さから「ネットワーク接続型ハードディスク」「ネットワーク対応ハードディスク」と呼ばれることもある。
小規模向けから大規模向けまで幅広い製品が流通しており、複数のドライブによる「RAID機能」や、通電したままドライブを交換できる「ホットスワップ機能」に対応した製品も珍しくない。また、盗難対策として暗号化機能を備える製品や、マルウェア対策機能を備えた製品もある。
ネットワーク上で複数のユーザーによりファイルを共有することを前提としており、ユーザーやグループ単位によるアクセス権限の設定が可能であることが一般的である。またデータ転送のパフォーマンスは、ネットワークの速度に依存するが、高速なネットワークに対応した製品も登場している。
セキュリティ上における意味
複数のユーザーやグループで利用するNASでは、必要なデータにのみアクセスできるよう、適切にアクセス制御を実施しなければならない。一部の製品では、外部公開用のFTPサーバー機能を備えているケースもあるが、設定ミスによる情報漏洩事故も発生しており、運用にあたっては十分に注意する必要がある。
また、ファイルサーバーの性質上、重要なデータが格納されることが多く、標的型攻撃やマルウェアの標的となる可能性もある。管理画面にアクセスするためのパスワードは、十分な強度を持たせ、つねに最新版のファームウェアを適用し、脆弱性を解消しておくなど、セキュリティ対策に配慮する必要がある。