インスタントメッセンジャーの一種で、Webブラウザーやメールソフトではなくチャット専用のソフトを使ってテキストのやりとりを行う。身元を隠すことができるため、ネット犯罪やサイバー攻撃における通信手段として、しばしば利用される。
ネット犯罪やサイバー攻撃を行う際に、外部から不正にコンピューターに指示(コマンド)を送ったり制御(コントロール)を行う際の通信手段として、しばしば用いられる。
特にDDoS攻撃などにおいては、ボットネットを攻撃側が構築して登録されているボット化した各コンピューターが一斉に標的に攻撃を実行するが、この際に攻撃者から各ボットへの指示を出すためにIRCが用いられる。
攻撃側はまず、前もって各ボットに指定しておいたIRCチャネルにアクセスし、ログインし、メッセージを送る。すると各ボットはこのメッセージを受け取り、受信した旨を返送する。こうして攻撃準備態勢が整うと、攻撃側は実際の指令内容を書き込む。その後、各ボットは攻撃の実行開始の通知を行う。
IRCの使い方
IRCでチャットを行いたい場合、まず、IRCクライアントと呼ばれるソフトウェアをインストールし、やりとりをするうえ上での自分の名前(ニックネーム)を設定する。そして、接続したいIRCサーバーをリストから選択する。
続いて、自分が参加したいチャネル名を入力(既存のものを選択または新たに作成)する。接続したIRCサーバーには複数の「チャネル」と呼ばれるチャットルームがある。最低1人が「入室」していることでチャネルは存続する。チャネルの数は膨大にあり、常に存在しているものもあれば、一時的に利用された後に直ちに消えてしまうものもある。
こうして、チャネルを選択(作成)した人物(複数の場合もある)との間で会話(井戸端会議)が可能になる。
相手との通信の基本はテキスト(文章)によるやりとりであるが、IRCクライアントによっては、ファイル転送機能を持っていたり、TLSによる暗号化が行われる場合もある。また、サーバー同士の接続により別のサーバーにつながっている相手との会話も行える。TCP/IPのプロトコルを用いた通信であり、インターネットだけでなく社内ネットワーク(イントラネット)でも利用できる。
なお、チャネルに入った者同士はお互いのIPアドレスを見ることができるため、IPアドレスを残さないでチャットに参加することができるソフトウェアを使って匿名化を行う場合もある。