自ら「アノニマス」を名乗る匿名の社会活動家
アノニマス(英:Anonymous)とは、2008年頃に米国の匿名掲示板サイト「4chan」をもとに社会運動などを展開した活動家やその集団を起源とする団体。自ら「アノニマス」と自称する。特定のメンバーがいるわけではなく、誰でも自由に参加できる。
活動は「キャンペーン」や「オペレーション」とも呼ばれ、活動ごとに賛同者が参加。活動内容は、サイバー攻撃から慈善活動まで幅が広い。特定の団体や企業、政府機関などへDDoS攻撃やクラッキングなどの過激な社会活動を展開するケースもあれば、逆にそのような実力行使に否定的なメンバー、街のゴミ拾いなどのボランティア活動を行うメンバーもいる。「アノニマス」を名乗ることは自由であるため、共通の思想や信条を持つ団体や組織と捉えることは難しい。
サイバー攻撃としては、宗教団体に対する攻撃や、WikiLeaksに対する圧力への抗議活動、アラブ地域における反政府デモへの協力などのほか、日本においても、違法ダウンロードを刑事罰化する際、DDoS攻撃やWeb改ざんが行われた。
アノニマスをはじめ、インターネットを駆使する社会活動家については、「ハッキング(Hacking)」と「社会活動家(Activist)」を組み合わせ、「ハクティビスト(hacktivist)」と呼ばれることもある。
なお、アノニマスの語源は、名前を入力せずに掲示板に書き込んだときに発言者として自動入力される「anonymous(匿名)」であり、国内の匿名掲示板である「2ちゃんねる」での「名無しさん」に相当する。映画「V for Vendetta」でも使用された「ガイ・フォークス」の仮面をトレードマークとしており、仮面を付けて人前に現れることもある。
セキュリティ上における意味
アノニマスの活動は、金銭目的ではなく「信条をもとにした社会活動」が特徴であり、その一環としてWebサイト改ざんなどサイバー攻撃を行っている。ただし、海外のアノニマスのなかには日本語を理解できないためか、攻撃対象と類似した名称を持つ企業、団体のWebサイトを誤って攻撃してしまうケースも発生しており、企業は自社サイトに対して日ごろよりセキュリティ対策をしておくことも重要である。アノニマスの活動を監視しているセキュリティ研究者もおり、事前に注意喚起が行われる場合もある。