特定の目的や用途で使われるために最適化された機器
アプライアンス(英:appliance)は器具や機械、設備などを指す言葉だが、ITの分野では「特定の機能をあらかじめ組み込んだ形で提供する機器」を意味する。Webサーバーやメールサーバー、NAS、DNSのような用途を限定したアプライアンスサーバーのほか、セキュリティ機能を提供するセキュリティアプライアンスなど、種類は多い。
セキュリティアプライアンスでは、マルウェア対策やファイアウォール、IDS/IPS、スパム対策、フィルタリングといった個別の機能に特化した機器以外に、複数のセキュリティ機能を1台に集約したUTM(統合脅威管理)もある。
さらに、ハードウェアによる提供に限らず、クラウドや仮想環境向けにOSやミドルウェア、アプリケーションなどを組み込んでセットアップし、イメージファイルなどで提供する「仮想アプライアンス」も提供されている。
目的に応じて必要なソフトウェアがあらかじめ組み込まれているため、別途ソフトを購入、インストールする手間がない。また専用の管理画面などを用意していることも多く、設定や運用管理も比較的容易に行える製品も多い。
一方で自由度が低く、専用のハードウェアが必要であったり、システムの構成変更や拡張、設定のカスタマイズなどが行えない場合もある。そのため導入には、目的や用途、システム環境などを考慮した検討が必要だ。
セキュリティ上における意味
任意のOSやソフトウェアを組み合わせてシステムを運用すれば、それぞれの互換性を確認したり、アップデート時の動作確認が必要となるが、アプライアンスであれば、そのような運用管理の負担が抑えられ、不具合が生じた場合も提供元が同一でありスムーズな対応を期待できる。また、アプライアンスでは、特定の機能に特化しており不要な機能を排除しているため、その分セキュリティ上のリスクが少ない利点もある。