セーフサーチ?子どもが安全にネットを利用するために保護者が行っておきたい3つの対策

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現代の子どもたちは、動画視聴やSNSでのコミュニケーションを日常的に楽しんでいる。しかし、インターネット上には子どもたちにとって望ましくない情報やコミュニケーションも氾濫している。この記事では、子どもが安全にインターネットを活用するために親が知っておくべきセーフサーチの仕組みと、3つの対策について解説する。

セーフサーチ?子どもが安全にネットを利用するために保護者が行っておきたい3つの対策

セーフサーチとは?

セーフサーチとは、GoogleやMicrosoft Bingなどの検索エンジンに搭載されている、検索結果上の露骨な表現を含むコンテンツを除外する機能だ。具体的には、セーフサーチをオンにすることで、ポルノや暴力など露骨な表現を含む、不適切な検索結果を非表示にできる。例えば、「ポルノ」という言葉を入力した際、セーフサーチのオンとオフの場合では検索結果が異なる。

図1:セーフサーチ「オン」の検索結果画面

図1:セーフサーチ「オン」の検索結果画面

なお、セーフサーチはキーワード検索だけでなく、画像検索や動画検索などでも有効となる。パソコン、Android、iPhoneなどのスマートフォン(以下、スマホ)、タブレット、Android TVなどで有効化できる。

なぜセーフサーチが必要とされるのか

内閣府による「令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、2021年度のスマホ所有率は中学生で91.1%、高校生で99.3%と、ほぼすべての中高生が自分専用のスマホを所有していることが明らかとなった。また、スマホはWebブラウジングだけでなく、ゲームやYouTubeなどの動画アプリ、SNSの閲覧・投稿、音楽の視聴などさまざまな用途で利用されている。

このような状況下において、子どもが出会い系サイトやSNSを通じて被害に遭うケースは少なくない。警察庁が2022年度に発表した調査によると、SNS(出会い系サイトやコミュニティサイトを含む)を介した児童被害の件数は2013年に1,293件だった。しかし、2022年には1,732件へと増加している。内訳は「児童ポルノ」が最も多く658件、次いで「青少年保護育成条例違反」が583件となった。

SNSに起因する犯罪のうち、「重要犯罪等の被害児童数」は2013年の26件から、2022年には158件と約6倍に増加している。内訳は「略取誘拐」が最多で80件、次いで「強制性交等」が49件となっている。「令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」では、実際に起こった検挙事例を紹介している。さまざまな事例から、出会い系サイトやSNSを介して行われる、子どもを狙った犯罪の悪質極まりない実態が見えてくるだろう。

保護者が所有するパソコン・スマホなどであれば、保護者の目の届く範囲にあるため、利用状況をある程度はコントロールできるかもしれない。しかし、子ども自身が所有するスマホは、保護者の目が行き届きにくい。加えて、子どもたちはインターネットの危険性について熟知しているわけではない。保護者が兆候を察知したときには、すでに犯罪に陥ってしまっている可能性がある。そのため、被害に遭うリスクを軽減させるためにも、セーフサーチをはじめとした機能の活用が重要となる。

Googleにおけるセーフサーチ設定方法

Googleにおけるセーフサーチの設定方法と、パソコン、Android、iPhoneそれぞれでの設定方法について以下に解説する。

1)パソコン

パソコン版Googleの場合、まずセーフサーチ設定の画面へアクセスする。もしくは検索エンジンにて、「セーフサーチ設定」で検索して表示されるページへアクセスする。図2のような画面が表示されるため、ボタンを「オン」にすれば設定は完了だ。

図2:セーフサーチの設定画面

図2:セーフサーチの設定画面

2)Android

Googleアプリの場合、図3のようにGoogleアプリを開き「設定」から行う。もしくはChromeブラウザーの設定画面から行うことも可能だ。ただし、Androidスマホの一部機種ではセーフサーチが設定画面で表示されない場合もある。その場合、図4のように検索エンジンで「セーフサーチ」と入力することで、設定画面へアクセスできる。

図3:Googleアプリの設定画面

図3:Googleアプリの設定画面

図4:Androidの検索エンジン上での表示

図4:Androidの検索エンジン上での表示

3)iPhone/iPad

iPhoneやiPadも基本的にはパソコンなどと同様に、Chromeのセーフサーチ設定から行う。あるいは検索エンジンにて「セーフサーチ」と検索すると、図5のようにセーフサーチ設定の管理画面へのリンクが表示される。なお、Safariでも検索エンジンをGoogleに設定している場合、左上のメニューをタップすると、セーフサーチのオン/オフを容易に設定できる。

図5: iPhoneでSafariでの検索結果

図5: iPhoneでSafariでの検索結果

セーフサーチは解除されてしまう恐れも

先述のとおり、セーフサーチという機能自体は子どもの保護に有効ではあるが、ITに詳しい子どもの場合、インターネット上で情報を収集してその機能を解除してしまう恐れもある。

例えば、Googleの場合は、先述のようにセーフサーチのボタンをオン/オフするだけで解除できてしまう。また、原則としてシークレットモードではセーフサーチがオフになってしまうため注意が必要だ。シークレットモードでもその都度、セーフサーチの設定は可能だが、ブラウザーを再起動するだけでオフに戻ってしまう。

子どもがインターネットを安全に利用するための対策

ブラウザーのセーフサーチは手軽に設定できる反面、解除も容易だが、安全性を保つためにはどうすればよいのだろうか。以下に3つの対策を紹介する。

1)各種Webフィルタリングの活用

ドコモ、au、ソフトバンクなどの大手携帯キャリアでは、Webフィルタリングサービスを提供している。また、インターネットプロバイダーが同様の機能を提供している場合もある。

WindowsやMacなどのOSには、家族保護機能というものが搭載されている。WindowsのFamily Safetyでは、Webフィルタリングや使用時間の制限が可能となっている。Macのファミリー共有では、子どもがメッセージアプリで裸体を含む写真を送受信する前に検知するなどの機能がある。

ペアレンタルコントロールソフトの導入も有効だ。ペアレンタルコントロールソフトとは、対象となる端末の使用時間管理やWebフィルタリングを行うソフトウェアである。例えば、ESETが提供する「ESET Parental Control for Android」では、Webフィルタリングもカテゴリーごとの設定のほかに、アプリの使用制限や利用時間、GPSによる位置情報の確認などが可能だ。

また、管理者用のパスワードを設定し、設定内容を勝手に変更できないように、あるいはアンインストールを防止するといった機能も搭載している。

2)親子での話合いや教育

先述のような安全に利用するための対策を講じるだけでなく、安全な利用の心構えを子どもに理解してもらうことも重要だ。どのような対策であっても、実際に利用する子ども自身がその理由を理解していなければ十分な効果は得られない。インターネットやSNSではどのような犯罪が発生しているのか。どのようにして子どもが犯罪に巻き込まれるのか。保護者がしっかりと子どもに対して伝えておくことが重要だ。

総務省の「上手にネットと付き合おう!安心・安全なインターネット利用ガイド」、IPAの「ここからセキュリティ!情報セキュリティ・ポータルサイト」などを参考にすると良いだろう。

3)家庭内でのルールを設定

子どもがインターネットの危険性について理解を深めることができたならば、家庭内でのルールも設けておきたい。例えば使用時間や使うタイミング、使用するアプリなどだ。内閣府発行の「スマホ時代の子育て」、政府広報オンラインの記事などが参考になる。もちろん、決めたルールに対して守れない場合の取り決めや、子どもの成長に合わせたルールの見直しを実施することも重要だ。

スマホを持ち、インターネットの世界に触れることは、子どもたちの世界を広げる一助になる。デジタルネイティブであることが当たり前の時代、テクノロジーの学習はもはや必須とも言えるだろう。そして、そうした機器やツールを利用するためには、リテラシーが重要だ。例えば、昔は刃物を使った工作の際にケガをすることが多かった。そうした経験を積んで、刃物の恐ろしさや危険性を理解していた。

スマホやSNSも、利用方法次第では危険に巻き込まれる可能性がある。また、他者に危害を及ぼす可能性があることも理解しなければならない。さらに言えば、自らの行動1つで取り返しのつかないことになる場合すらある。スマホを安全に利用するための環境を整備しつつ、上手に向き合うための知恵や工夫を育んでいってほしい。

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