5年で3倍に膨れ上がる企業のサイバー攻撃対策コスト

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企業にとってサイバー攻撃対策は、かつては必要としなかったコストだが、今や5年ほどで3倍にも膨れ上がっているのが現状である。しかも他方では、攻撃側の利益は今やアップル社の時価総額に次ぐという。

この記事は、ESETが運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「We Live Security」の記事を基に、日本向けの解説を加えて編集したものである。

5年で3倍に膨れ上がる企業のサイバー攻撃対策コスト

サイバー犯罪は世界中で4,500億ドルもの負担を強いている――米調査会社ハミルトンプレイスストラテジーズ(以下、HPS社)はこのことを新しい報告書で明らかにしている。

報告書は「サイバー犯罪の想像を超える負担」と銘打たれており、本編を「デジタル機器の普及によって、ますます相互関連性が増す世界において、サイバー犯罪は大きなビジネスになっている」と切り出して始めている。

同文書によれば、米国におけるサイバー犯罪対策の費用の中央値は最近5年間だけで実に3倍にまで膨れ上がったという。2010年は380万ドルだったのが、2015年には1,100万ドルにまで上昇したのだ。当面はこの調子でコストが増加し続けるとみられており、サイバー犯罪に対する負担もますます重くなる見通しだ。

さらに興味深いものとしては、サイバー犯罪対策ではしばしば莫大な経費を必要としている一方で、サイバー犯罪によってもたらされる「社会的評判の失墜はこのボトムラインよりもずっと大きくなりう得る」という指摘がある。

負の相乗効果も併せて示されている。サイバー犯罪の被害が出てしまった産業分野では、ビジネス全般への悪影響があるということだ。例えば、ある企業が情報漏えいの被害に遭ってしまうと、同国内の類似の業者に対する疑念も持ち上がってしまう。

報告書はさらに、サイバー犯罪が米国の「産業」としても大きな規模になりつつあることを示しており、その規模は2014年には4,450億ドルに上っていると指摘している。同金額は、たとえば米国一をキープするアップル社の時価総額である6,474億ドルに次ぐ大きさとなっている。

HPS社は、不運にもサイバー攻撃で被ってしまった損失を最小化する数多くのセーフガードを示している。推奨されていることの一つとして「マニュアル」作りが挙げられている。これは、被害時にどのような対応をすべきなのか、具体的な脚本を用意しておくというもので、これによって組織がサイバーセキュリティ計画により集中できるようになるとしている。

報告書ではさらに「ビジネスの現場にいるなら、今後数年内にクラッキングされる恐れがあることはほぼ疑いがない」と警告を発し、サイバー犯罪に対するますますの警戒と対策の重要性を強調している。

確かに企業組織においては不必要なコストは徹底的に省きたいところだろう。しかしサイバー攻撃が今後さらに質量ともに激化することを踏まえれば、サイバー犯罪対策に関するコストについては、決して軽視すべきではないように思われる。

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