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インド・東南アジアのサイバーセキュリティの現状

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IT化やインターネットの普及が進んでいるインド・東南アジア地域のセキュリティ事情をつかもうとESETが調査した結果、1)サイバーセキュリティに対して90%以上の人が不安を抱えている、2)半数以上が基礎的な知識が乏しい、3)信頼性が高くないところから情報を得ている、4)分かっていながら危険な行動をとっている場合も少なくない、5)国別では、最もセキュリティ意識が高かったのがマレーシアで最も低かったのがインドネシア、といった現状が明らかになった。

ESETはこのたび、インド・東南アジア地域におけるITリテラシーやサイバーセキュリティへの理解や実際的運用の現状を把握するために、2015年4月から5月にかけて、香港、インド、インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイのユーザー1,800名を対象にクイズ形式のアンケート調査を行いました。

調査は第三者機関に委託し、オンライン上で回答してもらいました。年齢は18 ~55歳、男性が52%、女性が48%です。

これは、IT化とインターネットの普及が急激に進むインド・東南アジア地域において、サイバーセキュリティに対する意識や現状を把握することと、起こり得るサイバー攻撃に対してセキュリティ意識を高めてもらいたいこと、この2点を目的としたものです。

その結果を要約すると、以下の5点にまとめられます。

1)サイバーセキュリティに不安を抱いているオンラインユーザー = 93%
2)国別におけるサイバー攻撃に対する意識 = 1位→マレーシア、最下位→インドネシア
3)基本的なサイバーセキュリティに関する質問に答えられない = 約60%
4)分かっていながらオンライン上で危険な行動をとっている = 38%超
5)サイバーセキュリティに関する情報源を公的機関以外から得ている = 約40%

セキュリティに関する基礎知識

まず、非常に簡単なセキュリティに関する質問を出してみましたが、残念ながら正答率は40%ほどでした。
回答者の大部分は、誕生日や名前などを含んだパスワードを使ってオンラインサービスにアクセスしていました。

また、セキュリティ保護なしに公共のWi-Fiネットワークに接続するなどの基本的なミスを犯していました。

この地域では、オンラインのセキュリティを理解し自分を守るためには、これから長い道のりが必要となるでしょう。

この地域には世界でも有数のインターネットユーザーがいます。にもかかわらず、安全にオンラインを使うやり方を多くの人が知りません。

地域によるセキュリティ意識の違い

各地域によって、セキュリティ意識の違いがありました。

国別「サイバーサヴィネス」ランキング

国別「サイバーサヴィネス」ランキング

国別では、マレーシアがこの地域で一番セキュリティ意識が高く、実際の防護に対して実績もありました。続いてシンガポール、インド、タイ、香港、インドネシアという順になりました。

ところで、オンラインにおける脆弱性やWebサーフィンの危険なふるまいなどを理解する能力や実績があることを「サイバーサヴィネス」(Cyber Savviness)と呼びます。

その意味ではこの地域における「サイバーサヴィネス国家」はマレーシアとなるのですが、残念ながら必ずしも正しいセキュリティ対策を講じている人が多いわけではないということが判明しました。また、オンライン上で活動していればさまざまなサイバーセキュリティリスクを負うことになるということも、十分に認識されていませんでした。

一方、インドやインドネシアのユーザーは、サイバーセキュリティへの意識は低かったにもかかわらず、予防措置については最大限の努力をしていました。

他方、マレーシア、シンガポール、タイは、セキュリティ意識は高いものの、自分の情報を守ることについてはあまり良い結果ではありませんでした。

知識と行動 「知識」は前もってオンライン上の安全性についての理解があることを示し、「行動」はオンライン上のふるまいを安全にするために実際に行っていることを示す。 マレーシア 知識=74.6% 行動=48.8%、シンガポール 知識=76.2% 行動=44.1%、インド 知識=62.6% 行動=60.1%、タイ 知識=72.5% 行動=45.3%、香港 知識=70.1%、行動=44.2%、インドネシア 知識=63.7% 行動=51.3%

知識と行動 「知識」は前もってオンライン上の安全性についての理解があることを示し、「行動」はオンライン上のふるまいを安全にするために実際に行っていることを示す。 マレーシア 知識=74.6% 行動=48.8%、シンガポール 知識=76.2% 行動=44.1%、インド 知識=62.6% 行動=60.1%、タイ 知識=72.5% 行動=45.3%、香港 知識=70.1%、行動=44.2%、インドネシア 知識=63.7% 行動=51.3%

こうした結果を振り返って、ESETアジア太平洋地区の営業部長であるパーヴィンダー・ワーリア(Parvinder Walia)は次のように述べています。

「オンラインセキュリティについて幾つかの事柄が神話にすぎなかったことをあらためて認識する必要があります。部分的には自覚が薄いせいもあるのでしょうけれども、この地域の人々はオンラインに関して無駄にリスクを背負い込んでいます。ユーザーは自分の個人アカウントや活動がハッカーのターゲットになる可能性がないと思い込み、セキュリティよりも利便性を優先しています。こうした現状はぜひとも変えていく必要があります」

情報は今では、ボタンや画面に触れるだけでアクセス可能です。インターネットは私たちの日々の生活の利便性を高めています。しかし、そうしたインターネットが提供する全ての利点は、あくまでも、オンライン上のセキュリティへの意識をしっかりと持つとともに、万全な予防措置を行って初めて成立するものだということを忘れてはなりません。

サイバーセキュリティ意識を高めるための啓蒙の必要性

実際にサイバーセキュリティについてどのくらい知っているのかを明らかにするために、普段のオンラインの安全性リスクについても回答してもらいました。

その結果、68%の人は、オンラインにセキュリティの問題があることを認識していながら、サイバーセキュリティに関する質問には答えられませんでした。

この地域では公教育の不足が大きな問題となっており、40%のオンラインユーザーは、必要な情報を公的教育機関などからではなく、自分自身の経験や家族・知人からの受け売りなど、オフィシャルではないところから獲得しています。

サイバーセキュリティについてどこで学習したか15% 公教育、 9% 講習会などに参加、31% 自力、32% 公教育で学ぶ機会がなかった、13% 家族や知人より

サイバーセキュリティについてどこで学習したか15% 公教育、 9% 講習会などに参加、31% 自力、32% 公教育で学ぶ機会がなかった、13% 家族や知人より

ただし、将来に期待が持てる点としては、サイバーセキュリティに関する正式な訓練を持っていなかった回答者の78%以上が、機会があればもっときちんと学びたいと答えていたことです。

新たな脅威は次第に減っているという大きな誤解
オンラインの世界は急速に進化している

また、オンラインユーザーが、新たに発生している脅威に気付いていないことも、ESETレポートの結果から明らかになりました。

例えば、この地域の回答者の半数近くは、パソコンよりもスマートフォンやタブレットPCの方がクラッキングされる可能性が高いことに気付いていません。

半数が、パソコンよりもスマートフォンの方が安全と思っている。それは、この6カ国の人たちが、パソコンの方がスマートフォンよりも脆弱であると信じていることを意味する。

半数が、パソコンよりもスマートフォンの方が安全と思っている。それは、この6カ国の人たちが、パソコンの方がスマートフォンよりも脆弱であると信じていることを意味する。

また、SNS、無料のアプリケーション、ソフトウェアのダウンロード、これらに関連するセキュリティリスクについても、真剣に受け止められていません。これらを利用しているにもかかわらず、サイバー脅威にさらされていることに不安を抱いているのは、回答者の30%程度にすぎませんでした。

図82-5  どんなときにサイバー脅威を心配するか オンラインバンキング 70%、ネット通販 62%、税金などの支払い 56%、無料アプリケーションのダウンロード 47%、SNSの利用 37%

図82-5  どんなときにサイバー脅威を心配するか オンラインバンキング 70%、ネット通販 62%、税金などの支払い 56%、無料アプリケーションのダウンロード 47%、SNSの利用 37%

このことについてワーリアは以下のように警告しています。

「サイバー脅威とは、ジャングルの中の罠(わな)のようなものです。できるだけ簡単な目標を設定し、できるだけ抵抗の少ない獲物を捕まえようとします。私たちの調査結果が示すのは、ユーザーが新しいテクノロジーを受け入れていく際に、新しい装置を安全に使おうとせず、知らず知らずのうちに危険に身を置いているということです。こうした危険性は、サイバーセキュリティの基本を知ることで改善されることを、どうか忘れないでください」

サイバーセキュリティは一人の問題でも、一国の問題でもありません。常にグローバルに捉えるとともに、きめ細かく自分の手元に注意を払う必要があります。

インド・東南アジア地域のセキュリティ事情も他人事ではありません。

もう一度あらためて、自宅や会社のセキュリティを見詰め直してみてはいかがでしょうか。

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