2022年7月・8月 マルウェアレポート

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7月と8月の概況

2022年7月(7月1日~7月31日)と8月(8月1日~8月31日)にESET製品が国内で検出したマルウェアの検出数の推移は、以下のとおりです。

グラフ1:国内マルウェア検出数の推移(2022年1月の全検出数を100%として比較)

国内マルウェア検出数*1の推移
(2022年1月の全検出数を100%として比較)

*1 検出数にはPUA (Potentially Unwanted/Unsafe Application; 必ずしも悪意があるとは限らないが、コンピューターのパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があるアプリケーション)を含めています。

2022年7月と8月の国内マルウェア検出数は、2022年6月から7月にかけては増加しており、7月から8月にかけては減少しています。Emotetへの感染を狙ったばらまきメールの送信停止に伴うダウンローダー検出数の減少や一部のアドウェアの検出数減少などが要因として考えられます。
検出されたマルウェアの内訳は以下のとおりです。

国内マルウェア検出数*2上位(2022年7月・8月)

順位 マルウェア名 割合 種別
1 JS/Adware.TerraClicks 13.7% アドウェア
2 JS/Packed.Agent 13.2% パックされた不正なJavaScriptの汎用検出名
3 JS/Adware.Agent 8.9% アドウェア
4 HTML/Pharmacy 8.6% 違法薬品の販売サイトに関連するHTMLファイル
5 HTML/FakeAlert 4.3% 偽の警告文を表示させるHTMLファイル
6 HTML/Phishing.Agent 4.0% メールに添付された不正なHTMLファイル
7 DOC/TrojanDownloader.Agent 3.5% ダウンローダー
8 JS/Adware.Sculinst 3.1% アドウェア
9 HTML/ScrInject 2.5% HTMLに埋め込まれた不正スクリプト
10 MSIL/Kryptik 1.8% 難読化されたMSILで作成されたファイルの汎用検出名

*2 本表にはPUAを含めていません。

▼各月の内訳をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。

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国内マルウェア検出数*2上位(2022年7月)

順位 マルウェア名 割合 種別
1 JS/Adware.TerraClicks 16.9% アドウェア
2 JS/Packed.Agent 10.7% パックされた不正なJavaScriptの汎用検出名
3 JS/Adware.Agent 10.3% アドウェア
4 HTML/Pharmacy 9.0% 違法薬品の販売サイトに関連するHTMLファイル
5 DOC/TrojanDownloader.Agent 6.1% ダウンローダー
6 HTML/FakeAlert 3.7% 偽の警告文を表示させるHTMLファイル
7 HTML/Phishing.Agent 2.9% メールに添付された不正なHTMLファイル
8 JS/Adware.Sculinst 2.7% アドウェア
9 HTML/ScrInject 2.4% HTMLに埋め込まれた不正スクリプト
10 MSIL/Kryptik 0.8% 難読化されたMSILで作成されたファイルの汎用検出名

国内マルウェア検出数*2上位(2022年8月)

順位 マルウェア名 割合 種別
1 JS/Packed.Agent 16.6% パックされた不正なJavaScriptの汎用検出名
2 JS/Adware.TerraClicks 10.6% アドウェア
3 HTML/Pharmacy 8.6% 違法薬品の販売サイトに関連するHTMLファイル
4 JS/Adware.Agent 7.6% アドウェア
5 HTML/Phishing.Agent 5.4% メールに添付された不正なHTMLファイル
6 HTML/FakeAlert 5.1% 偽の警告文を表示させるHTMLファイル
7 JS/Adware.Sculinst 3.7% アドウェア
8 HTML/ScrInject 2.7% HTMLに埋め込まれた不正スクリプト
9 MSIL/Kryptik 2.0% 難読化されたMSILで作成されたファイルの汎用検出名
10 DOC/TrojanDownloader.Agent 0.8% ダウンローダー

*2 本表にはPUAを含めていません。

7月と8月に国内で最も多く検出されたマルウェアは、JS/Adware.TerraClicksでした。
JS/Adware.TerraClicksは、Webサイト閲覧時に実行されるアドウェアの検出名です。感染すると、アドウェアが仕組まれたWebサイトへのリダイレクト、アドウェアコンテンツの配布やブラウザー拡張機能としてアドウェアをインストールするなどの被害を生じさせる可能性があります。
その他にも、アドウェアやダウンローダーをはじめとしたさまざまなマルウェアを確認しています。例えば、2022年7月・8月の検出数第10位の「MSIL/Kryptik」では、Snake KeyloggerやFormbookといった情報窃取型のマルウェアが検出されていました。

今回は、2022年を通して検出され続けており、7月と8月に検出数が増加している「HTML/FakeAlert」について紹介します。
HTML/FakeAlertは、偽の警告文を表示させるHTMLファイルです。Windowsのサポートを騙ったものが確認されています。Windowsのサポート詐欺については、各種メディアで取り上げられており、Microsoft社消費者庁からも注意喚起が行われています。
HTML/FakeAlertは、2021年3月のマルウェアレポートでも紹介しています。2021年3月の検出数と比較すると、約6倍となっています。

図:HTML/FakeAlertの検出数月別推移(国内)(2021年3月の検出数を100%として比較)

HTML/FakeAlertの検出数月別推移(国内)
(2021年3月の検出数を100%として比較)

Windowsのサポート詐欺を狙ったHTML/FakeAlertの1つにアクセスすると、Microsoft社のWebサイトの画像の上からMicrosoft Defenderによるマルウェア検知を騙った警告文が大きな音とともに表示されます。

図:アクセスした際の表示画面

アクセスした際の表示画面

警告文には、さまざまな検出名が表示されます。また、攻撃者が用意した電話番号も表示しています。こちらは、Microsoft社のサポートの電話番号ではありません。この検体では、ポルノコンテンツが含まれたWebサイトにアクセスしたことによるマルウェア検知を装っています。
この検体を2021年3月マルウェアレポートで紹介した例と比較すると、表示されるポップアップに違いはありましたが、大きな機能の変化はありませんでした。
2021年3月と2022年7月・8月の検体の両方で、アクセス中の画面でクリックなどの操作を行うと、ブラウザーが全画面表示に切り替わります。

図:全画面表示に切り替わったWebサイト

全画面表示に切り替わったWebサイト

全画面表示では、Webブラウザーのタブやブラウザー本体の「ウィンドウを閉じるボタン」を選ぶことができません。加えて、操作ができなくなった旨が書かれたポップアップも表示されるため、操作ができなくなったユーザーを焦らせます。
全画面表示になってしまった際は、以下の操作のいずれかを試してください。

  • F11またはEscキーを押す
  • Escキー+Shiftキー+Ctrlキーを同時に押して、タスクマネージャーを起動し、ブラウザーを終了させる
  • 右クリックから「全画面表示を終了」を選択(利用ブラウザーがChromeの場合)
  • 画面上部にマウスカーソルを移動させると表示される「×ボタン」をクリック

攻撃者の目的としては、用意した電話番号に電話をかけさせることが挙げられます。
通話すると、プリペイドカードを購入し、カードに書かれたシリアルナンバーを電話口で伝えるように指示されます。他にも、通話先から攻撃者が用意したツールをインストールするように指示されるケースもあります。この場合、攻撃者が用意したRATなどのツールによって、端末をリモートで操作される恐れがあります。

今回ご紹介したとおり、大きな警告音と共に警告文を表示させるHTMLファイルを継続して検出しています。Webサイトの見た目も精巧になっているため、正規サイトかどうかを見た目で判断することは困難です。また、今回ご紹介した例では日本語の文章が怪しい部分がありましたが、今後修正される可能性があるので注意が必要です。
そして、正規URLに似たURLを使っているケースも考えられます。アクセスする端末によっては、画面に表示される部分が限られることで、正規サイトのように見える場合があります。表示される電話番号や似たケースがないかなどをインターネット検索し、複数の情報から判断することが重要です。また、日ごろからアクセスしているWebサイトは、ブックマークからアクセスすることを推奨します。

常日頃からリスク軽減するための対策について

各記事でご案内しているようなリスク軽減の対策をご案内いたします。 下記の対策を実施してください。

1. セキュリティ製品の適切な利用
1-1. ESET製品の検出エンジン(ウイルス定義データベース)をアップデートする
ESET製品では、次々と発生する新たなマルウェアなどに対して逐次対応しています。最新の脅威に対応できるよう、検出エンジン(ウイルス定義データベース)を最新の状態にアップデートしてください。
1-2.複数の層で守る
1つの対策に頼りすぎることなく、エンドポイントやゲートウェイなど複数の層で守ることが重要です。
2. 脆弱性への対応
2-1.セキュリティパッチを適用する
マルウェアの多くは、OSに含まれる「脆弱性」を利用してコンピューターに感染します。「Windows Update」などのOSのアップデートを行ってください。また、マルウェアの多くが狙う「脆弱性」は、Office製品、Adobe Readerなどのアプリケーションにも含まれています。各種アプリケーションのアップデートを行ってください。
2-2.脆弱性診断を活用する
より強固なセキュリティを実現するためにも、脆弱性診断製品やサービスを活用していきましょう。
3. セキュリティ教育と体制構築
3-1.脅威が存在することを知る
「セキュリティ上の最大のリスクは“人”だ」とも言われています。知らないことに対して備えることができる人は多くありませんが、知っていることには多くの人が「危険だ」と気づくことができます。
3-2.インシデント発生時の対応を明確化する
インシデント発生時の対応を明確化しておくことも、有効な対策です。何から対処すればいいのか、何を優先して守るのか、インシデント発生時の対応を明確にすることで、万が一の事態が発生した時にも、慌てずに対処することができます。
4. 情報収集と情報共有
4-1.情報収集
最新の脅威に対抗するためには、日々の情報収集が欠かせません。弊社を始め、各企業・団体から発信されるセキュリティに関する情報に目を向けましょう。
4-2.情報共有
同じ業種・業界の企業は、同じ攻撃者グループに狙われる可能性が高いと考えられます。同じ攻撃者グループの場合、同じマルウェアや戦略が使われる可能性が高いと考えられます。分野ごとのISAC(Information Sharing and Analysis Center)における情報共有は特に効果的です。

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