最近話題の超小型パソコンとはどんなもの?

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2014年あたりから、「超小型パソコン」が隠れたヒット商品になっている。こういった製品にはどのような魅力があるのだろうか? 一方、セキュリティ的にはどのような懸念があり、どのような注意が必要なのだろうか。

NUCからさらに進化! テレビなどのHDMI端子に接続して使う超小型パソコン

2012年ごろから超小型パソコンとして、NUCへの注目が高まった。NUCとは、「ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング」の略で、10cm四方の、非常にコンパクトなデスクトップパソコンである。性能でいえば、ウルトラブック程度と考えればよいだろう。

そして2014年には、さらに小型のスティック型パソコンが登場した。テレビやディスプレイのHDMI端子に接続して使う、新しいタイプの超小型パソコンだ。ちょうどWindowsタブレットからタッチパネルとバッテリーを削除して、据え置き型にしたようなものといえば、イメージしやすいだろう。

性能もWindowsタブレットに近く、電力消費量も極めて少ない。使用するにはACアダプター、HDMI端子を持つテレビかディスプレイ、キーボード&マウスが必要だ。手で握れるくらいのサイズなので持ち歩きの負担は少ないが、タッチパネルやバッテリーを内蔵していないので、移動中のモバイル活用には使えない。

しかしHDMI端子に接続して使うため、会議室の大型テレビに装着し、社内会議の資料を映すといった用途には適している。支店を多く持つ企業であれば、ノートパソコンの代わりに携帯し、移動先の支店でディスプレイだけ拝借するという使い方も可能だ。

マウスコンピューターから発売されたスティック状の超小型パソコン

マウスコンピューターから発売されたスティック状の超小型パソコン

2014年にマウスコンピューターから「m-Stickシリーズ MS-NH1」が発売され、2015年のCES 2015ではIntel自身がスティック型パソコン「Intel Compute Stick」を発表している。(2015年3月に発売予定だが、日本市場での提供は未定)。

スティック型パソコンをビジネス利用する際のセキュリティ上の注意

超小型であるゆえ、従来のデスクトップパソコンとは異なる使用法が可能になるが、ビジネス利用となると、セキュリティ上、考慮しておくべきポイントがある。

まずはスペックだ。CPUは最新世代Atomが搭載されており、通常のビジネス利用には十分といえる。しかし一般的なデスクトップパソコンと比較すると、性能は劣る。メモリーも2GB程度とやはり少なめであり、ストレージも決して多くはない。

スペック上はビジネス用途に耐えうるが、仕事で使う以上、マルウェア感染や情報漏洩は防がなくてはいけない。当然、セキュリティ対策ソフトは必須であり、とりわけ動作に必要なメモリーの消費量が少ない製品の方が快適に利用できる。特に従来タイプの「シグネチャ」を多用する製品では、ウイルス定義データベースをメモリーに展開して圧迫するケースもあるので注意したい。

移動中は使えないとはいえ、そのコンパクトさから携帯される可能性が高いことを考えれば、盗難、紛失対策も施しておく必要がある。「うっかり紛失!」という事態もありうるので、「収納場所を決めて、使い終わったら戻す」「中に重要なデータは置かない」「ファイルを保存する場合は、パスワードをかけたり暗号化する」「MDMなどのソフトを入れておく」などのルールを定めておこう。

従業員がUSBメモリーやノートパソコンを勝手に持ち込み、マルウェア感染を招いたり、情報漏洩などにつながる事故は少なくない。企業のIT管理者は、今後はシャドーIT対策として超小型パソコンの持ち込みについても目を光らせておく必要があるだろう。

製品選びの際は搭載OSにも留意すべきである。まだ黎明期といえるスティック型パソコンは製品が少なく、出揃うのはこれからという状況だが、現在発売されている製品を見ると、「Windows 8.1 with Bing」が搭載されている。これは、Windows 8.1における検索エンジンの初期設定をBingにして販売しているもので、機能としては通常のWindows 8.1と同等だ。

超小型パソコンの特長

つまり、Windows 8.1 Proと異なり、「Active Directory」やディスクを暗号化する「BitLocker」、アプリケーションの使用を制限する「AppLocker」などのビジネス向け機能が搭載されていない。会社のネットワークに接続して使うのであれば、Windows 8.1 ProやEnterpriseあるいはWindows 7 Enterpriseなど、企業向けエディションが導入できるかも、製品選びの際には検討しておきたい。

小型ならではの利点が活かせる用途があれば、最適なのがスティック型パソコンである。セキュリティをしっかり確保した上で有効に活用していただきたい。

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