一般に公開されている情報を統合的に分析して、独自の有用な情報を導き出すための手法
OSINTとは、合法的に入手可能な、一般に公開された情報をもとに多様な情報を組み合わせて分析することで、一定の見解を導き出す手法のこと。もともと軍事・諜報活動で利用されてきた手法であるが、現在ではマーケティングやビジネス、セキュリティなどさまざまな分野で活用されるようになった。
具体的には、企業の競合分析をはじめ、セキュリティ対策、マーケットリサーチ、犯罪捜査など、多岐にわたる場面で活用されている。例えば企業は、公開情報を分析し、競合他社の戦略を理解するだけでなく、新たなビジネスチャンスを見出すことも可能である。また、セキュリティの専門家の場合は、OSINTを活用し、脅威情報を収集することで自社の防御策の強化につなげている。
OSINTの法的、倫理的な注意点
OSINTを活用するにあたり、法律と倫理の観点から注意すべき重要な点が存在する。OSINTは公開情報から重要な情報を導き出す手法であるが、公開されている情報を無制限に利用できるわけではない。
例えば、個人情報保護の観点からすれば、SNSのタイムライン上の投稿で発見した個人情報はオープンになっているとは言え、どのように利用してもよいわけではない。調査への活用もケースによってはプライバシー侵害となりかねず、法に触れる可能性もある。また、著作権法の観点では、その情報が著作権によって保護されている場合、引用元の引用条件に従う必要がある。
加えて、情報の真偽を検証するスキルがOSINTには求められる。ネット上には多数の情報が溢れているが、その中にはフェイクの情報も少なくないからだ。Chat GPTといった生成AIの普及により、フェイクニュースが氾濫する可能性も見込まれる。誤った情報をもとに分析をすれば、誤った結論が導き出されることになるため、倫理的な観点からも適切な情報の選択、利用がOSINTには求められている。