仮想通貨交換所「ビットフィネックス」へのDDoS攻撃が発生

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仮想通貨であるビットコインの交換所へのDDoS攻撃が行われた。動機はまだはっきりしていないが、ビットコインの価格が最高値に達するタイミングで攻撃が行われており、サイバー犯罪者が価格を操作して利益を得ようとしていたのではないかという疑いがある。

この記事は、ESETが運営するマルウェアやセキュリティに関する情報サイト「Welivesecurity」の記事を翻訳したものである。

仮想通貨交換所「ビットフィネックス」へのDDoS攻撃が発生

仮想通貨の交換所であるビットフィネックス(Bitfinex)は2017年12月4日、非常に困難な事態に陥った。DDoS攻撃のため、その日、一時的にではあるが利用不能状態に追い込まれた。その攻撃は数日前の類似のインシデントをほうふつとさせるものであった。

「プラットフォームは現在、過剰な負荷を負わされており、私たちは通信を復旧すべく作業をしているところだ」という最初のツィートの後、程なくして、香港に拠点を置くこの仮想通貨交換所はこの一件がサイバー攻撃であることを確定認した。

通常のオペレーションはバックアップされており、1時間内に復旧されている。実はこの操業停止の一件に先立ってもう1つ別のDDoS攻撃があった。11月26日のことである。それは「メンテナンスを開始してすぐに始まり、それ以降ずっと続いている」と、ビットフィネックスにより同日に投稿されたツイートでは述べられている。

この攻撃を仕掛けている人物は誰なのか、また彼らの動機は何なのかについては明らかにはなっていない。しかし、ビットコインの相場が新たに高値を更新したその時に猛攻撃は起こっている。おそらくそれが引き金となって、サイバー犯罪者は価格を操作し利益を得ようと活動を活発にしたのだ。

「原因はDDoS攻撃。プラットフォームが正常に機能しないよう、ある人物もしくはグループが意図的に仕掛けている。この攻撃をかわすべくDDoS防御のレベルを調整中」という内容。画像は「Twitter @bitfinex」より。

「原因はDDoS攻撃。プラットフォームが正常に機能しないよう、ある人物もしくはグループが意図的に仕掛けている。この攻撃をかわすべくDDoS防御のレベルを調整中」という内容。画像は「Twitter @bitfinex」より。

その2つの攻撃に挟まれる形で「瞬間暴落」が起こった。それはまず、前週の水曜にビットフィネックスを襲ったと報告されており、トレーダーの中にはそのために深刻な損失を被ったと報告する者が出てきた。仮想通貨NEOやOMG、ETPの相場が90%に迫る勢いで下落して取引停止に至ったのである。しかし、ビットフィネックスは市場が正常に運営されていたと主張していた。

もう1つの別の大手交換所コインベース(Coinbase)も2017年6月に瞬間的な暴落に見舞われ、最終的に規制をするための監視を行うこととなった。

2年以上前にもトレーディングは荒れたことがあり、そのときはわずか30分のうちにビットコインの価格が14%下落する結果となった。

11月末までにコインベースにその座を明け渡すことにはなったが、それまではビットフィネックスはUSドルとビットコインとの取引において取引量首位を誇る交換所であった。

ほかの仮想通貨の交換所と同様、ビットフィネックスはサイバー攻撃の被害を経験している。何回もDDoS攻撃を経験することに加え、サイバー上で多額の窃盗の実害に遭い、2016年の8月に苦境に陥った。交換所が復旧するまで、そのインシデントはビットフィネックスもマウントゴックス(Mt.Gox)と同じようなことになるのではないかと疑心暗鬼となり、トレーダーたちの多くにある種の既視感を抱かせたかもしれない。マウントゴックスはクラッカーの手によって顧客の5億ドルの金を失った後、2014年に倒産したのである。この一件もまた仮想通貨の取引が小心者には向いていないということをまざまざと思い起こさせてくれるもう1つの実例なのである。

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