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特集 | ビジネスやITの最新動向/技術についてセキュリティ観点からレポート

SIMロック解除の義務化がメールに与える影響とは

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2015年5月に施行された携帯電話・スマートフォンのSIMロック解除義務化が、思わぬところに影響を与えている。ユーザーにとっては新たなセキュリティ対策、消費者向けビジネスを行う企業にとってはメールの運用に留意する必要があるだろう。

格安SIMにはキャリアメールのサービスがない

SIMロック解除の義務化をビジネスチャンスととらえ、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)による通話・通信サービスが数多く登場している。いわゆる「格安SIM」と呼ばれるものだ。

格安SIMには「音声通話」「データ通信」「SMS(ショートメール)」のサービスが用意されているが、@docomo.ne.jpやezweb.ne.jpといった「キャリアメール」のサービスは準備されていないのが現状である。つまり、格安SIMとSIMフリーのスマートフォンを組み合わせて使う場合、メールでのやりとりには通常のメールアドレスやGmailのようなサービスを用いることになる(以下、便宜的に「PCメール」と記述する)。

キャリアメール←→PCメールのやりとりの発生

大手キャリアがこれまで提供してきたキャリアメールは、迷惑メール防止のためPCメールからの受信をブロックするよう設定されている。しかし、前述のように格安SIMを使っているユーザーはPCメールしか送信できないため、それらのメールをキャリアメールで受信する場合、PCメールの受信制限を解除するか、ひとつひとつのメールアドレスをホワイトリストに加える必要性が出てくる。格安SIMの成長を鑑みると、ひとつひとつのメールアドレスをその都度登録するのは面倒である。

また送る側からすると、格安SIMへの移行前に「今後はPCのメールアドレスから送る」と連絡すれば問題ないものの、事前連絡が間に合わずに移行してしまった場合はいきなりPCメールから送信することになってしまう。もちろんそのメールは、PCメールの受信制限を解除しない限り届くことはない。それでは困るということで、PCメール全体を受け取れるようにするユーザーも少なくないだろう。

 
格安SIMに変更してから連絡をしようとしても、PCメールを拒否している相手に届かない場合がある。変更前に通知をするのが得策と言えるだろう。

格安SIMに変更してから連絡をしようとしても、PCメールを拒否している相手に届かない場合がある。変更前に通知をするのが得策と言えるだろう。

なりすましメールや外部リンクに慣れていないキャリアメール層

格安SIMとSIMフリースマートフォンの普及に伴い、今まではキャリアメール内で手厚く保護され、怪しい外部リンクやなりすましメールに触れる経験のなかったユーザーが、PCで受信する通常のメールと同じリスクを持つ世界に放り出されることになる。

スマートフォン・ユーザーにとっては、フィッシングサイトへの誘導をブロックするセキュリティ・ソリューションが、これまで以上に必要となる。

 
キヤノンITソリューションズはフィッシング対策協議会の正会員であり、ESET MobileSecurity for Androidなどには日本を対象としたフィッシングへの対策が反映されている。

キヤノンITソリューションズはフィッシング対策協議会の正会員であり、ESET MobileSecurity for Androidなどには日本を対象としたフィッシングへの対策が反映されている。

企業のメール運用に与える影響は

今後は利用端末を問わず、キャリアメール保持者が「キャリアメールでPCメールとやりとりを行う」場合が増えるであろう。消費者向けビジネスを行う企業にとっては、これにより「abc..efg@」や「ab!c@」のような一般にルール違反とされるメールアドレスからの受信が増加する可能性がある。

2009年以降、これらのメールアドレスは新規に取得できなくなっており、減少傾向にある。しかし、既存のアドレスが利用できなくなったわけではないため、依然としてキャリアメール利用者の一定比率を占めるものと推測される。

ルールに則らないキャリアメールのアドレスに対して、必ずしもシステムを改変してまで対応しなければならないわけではない。「キャリアメールからの受付はできない」という一文を記載するだけでよい場合もあるだろう。しかし、携帯電話・スマートフォンのSIMロック解除義務化に伴い、これらのメールアドレスからの問い合わせが増える可能性は認識しておきたい。

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