「Black Hat Asia 2026」「DEF CON Singapore」参加レポート

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はじめに

2026年4月、シンガポール・マリーナベイサンズで開催されたサイバーセキュリティカンファレンス「Black Hat Asia 2026」および「DEF CON Singapore」に、サイバーセキュリティラボから2名参加しました。
本記事では、カンファレンスの概要や発表内容についてご紹介します。

旅程

最初に今回の渡航の旅程を説明します。
日程は移動時間も含めて7日間となりました。

日本からシンガポールまでは約7時間のフライトでした。午前に出発し、現地には18時頃に到着しました。4月のシンガポールは平均気温が28℃と、日本より約10℃高く、年間を通して湿度が80%前後となる、真夏の日本のような高温多湿な気候でした。乾季にあたる時期でしたが、空港到着時にはスコールが降っていました。
ホテルまでは地下鉄(MRT)で移動しましたが、空調が効いており快適に移動することができました。注意点として、室内の空調温度は低めに設定されているように感じましたので、薄手の上着を1枚持っておくと快適に過ごせます。

スコール時の街の様子

スコール時の街の様子

日程を下の表にまとめています。

日程表

日程 イベント
4月22日 移動(出国)
4月23日~4月24日 Black Hat Asia 2026
4月27日~4月28日 DEF CON Singapore
4月29日 移動(帰国)

Black Hat Asia 2026 概要

Black Hatは世界最大級のサイバーセキュリティカンファレンスの1つであり、1997年の設立以来、アメリカ(USA)、ヨーロッパ(EUROPE)、アジア(ASIA)、中東・アフリカ(MEA)の複数地域で毎年開催されています。
セキュリティ研究者、ハッカー、企業のセキュリティ担当者、政府関係者などが一堂に会し、最新の脅威、攻撃手法、脆弱性、対策技術、ツールなどを発表・共有する場です。
例年通り、カンファレンス会場は「Marina Bay Sands Expo and Convention Centre」でした。1つのフロアに講演会場や展示場などの各種会場が集まっていました。

会場施設に入った直後に見えた案内看板

会場施設に入った直後に見えた案内看板

Black Hat Asia 2026のオープニングの様子

Black Hat Asia 2026のオープニングの様子

Black Hatは以下4つの主要プログラムで構成されています。
今回、私たちはBriefings・Arsenal・Business Hallの3つのプログラムを見学しました。

プログラム構成

1 Trainings 技術的な有料トレーニング
マルウェア解析やペネトレーションテストなどをはじめ、幅広いトレーニングを有料で提供
2 Briefings 最新のサイバーセキュリティ研究や脅威、脆弱性、攻撃手法などを専門家が発表する技術セッション
毎年、新しい脆弱性や攻撃手法などの研究成果が発表
3 Arsenal 研究者や開発者が最新のオープンソースセキュリティツールをデモ形式で紹介する技術展示
参加者と対話しながら、実践的な知識やスキルを共有する場で、ハンズオン形式の「Arsenal Lab」も併設
4 Business Hall 各企業の製品展示会
製品の説明やミニセミナーを実施

Black Hat Asia 2026は前年と比較して「AI」「Exploit」「脅威インテリジェンス」に関連した講演が数多く行われていました。
Business Hallの出展企業を国別にみると、アメリカ企業の出展が最も多く見られましたが、開催地シンガポールやオーストラリアといったAPAC地域も目立っていました。

Briefings

Briefingsは、Black Hatの中でも特に注目されるプログラムです。
最新の脆弱性、攻撃手法、研究成果が発表される場で、世界中の研究者やセキュリティエンジニアが、独自の調査結果をプレゼンテーション形式で共有します。

セッションの様子

セッションの様子

AIを扱ったBriefingsセッションも多く、Keynotes講演では、OpenAI初のセキュリティ研究者の1人であるAri Herbert-Voss氏によるAI活用攻撃に関する発表が行われました。

Arsenal

Arsenalは、セキュリティツールの展示・デモを行うインタラクティブなセッションで、開発者が自らのツールや研究成果を紹介するプログラムです。Briefingsに比べると、発表者と距離が近く、気軽に質問をすることができます。
Black Hat Asia 2026では、日本企業に所属する方々による発表も行われていました。

Arsenalでの発表の様子

Arsenalでの発表の様子

Business Hall

Business Hallは、世界中のサイバーセキュリティ企業が集結する展示エリアで最新技術のデモ、製品紹介、ネットワーキング、スポンサーセッション、アーセナル(ツール展示)などが行われています。
今回は、52社を超える企業がソリューションを展示していました。
Business Hallの会場周辺では各種イベントも開催されていました。イベントブース「Bricks & Picks」では、レゴブロック作品の制作やロックピックチャレンジなどが開催されていました。

Business Hallの様子

Business Hallの様子

スタートアップ企業が集まったブースの様子

スタートアップ企業が集まったブースの様子

イベントブースの様子

イベントブースの様子

DEF CON Singapore 概要

DEF CONは、世界有数の情報セキュリティカンファレンスの1つです。
DEF CONとして東南アジア地域で初めての開催が、今回のDEF CON Singaporeで、Black Hatと異なりさまざまなジャンルごとに小規模な展示や講演、イベント、参加型のワークショップなどが催されているのが特徴です。
DEF CON Singaporeは、Black Hat Asia終了後の翌週に開催されました。会場は「Marina Bay Sands Expo and Convention Centre」でした。Black Hat Asiaと同じ建物でしたが、DEF CONは地下の大きな会場で開催されていました。

会場の様子

会場の様子

そして、DEF CONは会場への入場証として、特徴的なバッジが配布されます。バッジは毎年意匠が異なっていて、年によっては基板を搭載して光るものなどさまざまです。
今年はESP32-C6 MCUが搭載されたバッジになっており、BluetoothやWi-Fiの感度確認といった機能が組み込まれていました。

DEF CONバッジ(会場の入場証)

DEF CONバッジ(会場の入場証)

DEF CONは以下3つの主要プログラムで構成されています。
今回、私たちはConference・Villageの2つのプログラムに参加しました。

プログラム構成

1 Trainings 技術的な有料トレーニング
マルウェア解析やペネトレーションテストなどをはじめ、幅広いトレーニングを有料で提供
2 Conference 新しい攻撃手法や脆弱性を発表するセミナー
Black Hatとは異なり、攻撃に関連する情報が中心
3 Village 分野別の体験型エリア(例:IoT、無線通信、ロックピッキング、ソーシャルエンジニアリングなど)
実際に手を動かして学べるワークショップが豊富

Village

プログラムの中で最も特徴的なのはVillageです。会場では分野ごとに仕切られたスペースが設けられており、講演の聴講やハンズオンへの参加を通じて学ぶことができます。ジャンルも特徴的で、サイバー分野だけでなく、物理的なセキュリティ、ドローン、船舶、医療機器など幅広い分野を取り扱っています。
VillageごとにCTFやハンズオンを開催しているため、Black Hatと比べると実際に体験できる点が大きな特徴です。また、ニッチなジャンルが多いため、色々なVillageを回るだけでもBlack Hatとはまた違った雰囲気を体感できます。
私はシンガポールの戦略情報通信技術センター主催のC517 Village内で開催された簡易的なCTFに参加してみました。参加したCTFは、AIを活用しながらマルウェアを静的解析し、問題に解答する形式でした。30分ほどの短い時間でしたが、普段業務で使うツールやマルウェア知識を試すことができました。また、Villageで開発されていたAIツールを使うことで、静的解析におけるメリットを体験することができました。

Village内でのハンズオンの様子

Village内でのハンズオンの様子

講演会場の様子

講演会場の様子

おわりに

今回、Black Hat AsiaとDEF CON Singaporeに初めて参加しました。講演の聴講だけでなく、Business Hallや各種Villageへ参加し、多くの知見を得ることができました。
また、現地では日本国内の企業から参加されていた方々と交流する機会にも恵まれました。各社での取り組みやセキュリティに関する課題について意見交換を行うことができ、大変刺激を受けました。
特に印象的だったのは、「Security for AI」と「AI for Security」に関する取り組みが一層高度化している点です。講演やBusiness Hall展示では、AIを活用した製品や機能が実運用レベルで実装されている事例や、それらの高度化に関する内容が取り上げられていました。
しかし、実際の導入にあたっては、人間とAIの役割分担や回答精度の担保など検討すべき課題が依然として存在します。これらの課題解決に貢献するためにも、自分自身の技術力を向上させ、AIの効果的な活用に取り組んでいこうという思いを新たにしました。
また、Black Hat USAと比較すると規模は大きくありませんでしたが、その分、一つ一つのプログラムに割ける時間が多く、充実した参加になりました。日本からの移動時間も短く、負担が小さい点も初参加の自分にとってはメリットに感じました。
最新の脅威や技術を学び、世界から集まったセキュリティ研究者と交流する場であり、日本から参加しやすいカンファレスの1つであると感じました。

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