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写真家 中西敏貴インタビュー

進化する創造者たち。|写真家 中西敏貴インタビュー

写真、映像、音楽、デザインなど、表現の最前線で活躍するクリエイター=創造者たち。感性を研ぎ澄ませ、高度なテクニックを磨き上げる。さらに独創的な表現に挑み続け、進化の歩みを止めない彼らの創造の秘密とは? 果敢に前進する創造者たちを応援する、セキュリティ製品のブランドESET(イーセット)とESET製品の国内総販売代理店であるキヤノンマーケティングジャパン株式会社がお届けするコンテンツです。

今回の創造者は、北海道美瑛を拠点に活動する写真家・中西敏貴さん。自然風景を被写体としながらも、その作品は、人類太古の歴史、宇宙の拡がりまで感じさせる圧倒的なスケール感で迫ってきます。現在の表現に到達するまでの道のり、進化への過程、創造のノウハウについても聞きました。

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中西敏貴(なかにし・としき)

1971年大阪生まれ。2012年に撮影拠点である美瑛町へ移住。大雪山系の原生風景をメインフィールドに、北海道で生きてきた人々と自然との関わり方を探る旅を続けている。2020年9月、キヤノンギャラリーSにおいて 写真展「Kamuy」を開催。日本写真家協会会員、日本風景写真家協会会員、日本風景写真協会指導会員、Mind Shift GEARアンバサダー。

中西敏貴(なかにし・としき) プロフィール写真
第1章

進化を語る

進化し続ける創造者たちが現在進行形で追究するテーマとは何か。キャリアの出発点から今日に至るまでの道筋を探る。

いま何を追いかけているのか

写真とは、目に見えている光を捉えて表現することが多いと思います。私も長い間、理想とする光を追い続けてきました。昔は写真一枚撮ることが大変な作業で、露出を合わせて、目の前にあるものが見たままにきれいに写ることに喜びを感じていました。ところが写真がフィルムからデジタルになり、ここ10年ほどのカメラの劇的な進化によって、目の前にあるものは誰にでも簡単に写せるようになりました。

きれいな光で美しい自然風景を撮るだけではなく、僕らは表現者として、その先を目指すべきなのではないか。自分が写真で何を表現したいのか。それを追究するのが、プロのフォトグラファーである存在意義だと感じ始めています。

目には見えないものを写真によって可視化する。たとえば、僕がいま暮らしている北海道の姿をひとつの大きな島として捉えることで再定義したり、森や古代遺跡の痕跡を歩いて先住民族の自然観を写真で表現したりといった試みです。そんな新たな表現領域に向かい始めているところですね。

写真

どのように進化して現在の自分があるのか

初めての北海道は18歳、大学1年生のとき。写真部に入り、青春18きっぷで旅をして、広大な風景に心を奪われたのです。「将来は北海道で写真家になる」と宣言するほど写真に夢中でしたが、大学卒業後はいったん就職。バブル景気の崩壊と重なり、写真の世界に飛び込むリスクが大きいと考えたからです。

写真

その後は、仕事をしながら関西から北海道へ通い続けました。多いときは月に一度の撮影行。そんな生活を約18年続けていたのですが、写真家になる意思は持ち続けていました。転機となったのは2011年、キヤノンギャラリーで開催する個展の審査に合格したこと。同じころ雑誌などから撮影を依頼してもらえるようになり、ストレスなく写真に専念するため、仕事を辞めて北海道に移住を決めたのが2012年です。そこから一気に走り出しました。

「現状維持は緩やかな衰退」という言葉があります。振り返ってみると、現状に甘んじなかったことが、現在の自分につながっていると感じます。新しいことに挑戦し続けている限り、人は進化することができる。その信念を持ち続けたいですね。

第2章

制作環境と創造プロセス

創造者たちにとって、快適な制作環境とは? ハードウェアやソフトウェア、アトリエ空間について語ってもらうことで、創作のヒミツを探る。

創造者を支える制作環境

北海道美瑛に居を構え、家を一歩出ればそこは撮影フィールド。毎日撮影に出かけ、1日の撮影枚数は2000~3000枚に達します。動画の撮影も並行して行うようになったので、扱うデータ量は増える一方です。総計40TBのストレージで対応していますが、今後増強していく必要がありそうです。

撮影した写真のデータを取り込んだり、編集ソフトで加工したり、ライブラリの管理は、基本的にMacを使っています。データはRAID*1を組んだ外付けHDD(ハードディスク)に保存。近年はデータの納品、SNSの更新など出張先でライブラリからデータを取り出す必要性が出てきたため、簡易NAS*2を構築してネット上からデータを取り出せるようにしました。

  • *1 RAID(レイド):Redundant Array of Inexpensive Disksの略。複数のハードディスクを組み合わせて仮想的な1台の装置として運用する技術
  • *2 NAS(ナス):Network Attached Storageの略。ネットワークに直接接続して使用する外部記憶装置

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キヤノンのミラーレスカメラEOS Rが登場した2018年以降、カメラの進歩はめざましいものがあります。EVF(電子ビューファインダー)のおかげでピクチャースタイルやホワイトバランスの設定、色やコントラストまで調整して、仕上がりイメージを決定してから撮影できるようになりました。撮影時に絵づくりが完成しているから、後工程の作業負荷が減り、新しい作品を生み出すことに集中できるようになりました。

カメラをはじめパソコン、モニター、ストレージなどのテクノロジーは、自分のイメージを具現化し、見えるようにしてくれる装置です。よりシンプルかつ快適なワークフローを構築してくれるのなら、積極的に新しいものは取り入れたいですね。創造的な仕事を支える基本です。

創造者の制作ノウハウ

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写真制作に欠かせない現像ソフトや画像編集のアプリケーションソフトも、時代とともに進化しています。RAW現像ソフトは、キヤノン純正の「DPP(Digital Photo Professional)」が主力。その他、「Capture One」やAdobeの「Lightroom」、「Photoshop」などを使い分けています。

大量のデータをどのようなフォルダ構造で管理しているかというと、結構シンプルです。まず大分類として、カメラ機種ごとにデータを分けています。さらに日付ごとのフォルダーを作って管理します。僕の場合、どのカットをどのカメラで撮ったのか記憶しているので、昔からこの管理方法ですね。

RAW現像済みのTIFFデータは、すべて年月日付ごとにフォルダを作って管理しています。たとえばクライアントから「紅葉の写真がほしい」とオーダーされたら、「それなら2年前の11月ごろの写真」などと見当をつけて11月のフォルダを開いて、必要な写真を探す感じです。Lightroomでも管理しているので、キーワード検索を活用することもあります。

ジャンルやモチーフ別に分類している写真家も多いのですが、僕は花や野鳥、風景などのジャンルにとらわれず、ほぼ365日、毎日撮っているので分類が困難。その日に撮影した写真は、その日の作品という考え方なので、季節ごと、日付ごとに分けてあれば整理がつくのです。ただ、記憶が頼りの管理法なので、30年後にはどうなっているでしょうね(笑)。

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第3章

セキュリティと守るべきもの

デジタルを駆使して創作活動に取り組む創造者たちが考えるセキュリティ対策とは? 進化のために「守るべきもの」とは何かを探る。

セキュリティについて

これまでウイルスなどの脅威に直面した経験はありません。たまたま運がよかっただけかも。写真講座で教えている生徒さんの中の数名の方が、「ウイルスに感染したのでファイルが送れない」とか、「SNSを乗っ取られた」といったトラブルに見舞われています。こわいですよね。

データをロックして身代金を要求するランサムウェアなどの存在は心配です。写真家にとってデータ、写真は財産です。失ったり損害を受けたりしたときのダメージは計り知れません。

写真

現在使用しているセキュリティソフト「ESET」の印象としては、以前インストールしていたソフトと違って、バックグラウンドで静かに働いてくれている安心感があります。大変軽快な使い心地で、動作しているのを感じないほどですが、常に見守ってくれている安心感があるんです。
いかにも「働いています」というような頻繁に出るお知らせなどの挙動がありません。

新しいストレージや外出先のネットワークに接続したときにメッセージが出て、動いているのは実感します。「脇役」に徹するような振る舞いは、セキュリティソフトとしてESETの重要な設計コンセプトなのでしょう。そういう部分も含め、好感を持っています。

デジタルを駆使した作品づくりは、快適な作業環境があってこそ成り立ちます。写真家として「目に見えないものを可視化する」表現に挑戦している私にとって、ウイルスなど目に見えない脅威を可視化して防御してくれるセキュリティソフトは心強い存在。ESETは欠かせないものと思っています。

守りたいものについて

「自分にしかできないことを最後までやりきる信念」

これは自分の根幹を成す、表現者として譲れない思いです。僕らは表現者である以上、常に新しい道を切り拓いていかなければならないと考えています。変化を恐れていては、進化はありえません。自分がこれまで歩いてきた道をあえて壊して、新しい道を作っていくこと。現状に甘んじることなく、最後までやりきること。その先に進化がある。この信念は、ずっと守っていきたいですね。

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