Win32/Spy.Bebloh.J

公開日:2016年08月05日

危険度:4

定義名称 Win32/Spy.Bebloh.J
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Spy.Bebloh.J
別名 Trojan.Win32.Bublik.akrr(Kaspersky)、VirTool:Win32/CeeInject(Microsoft)、Trojan.Bebloh(Symantec)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Spy.Bebloh.Jの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン7179(20125029)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 このトロイの木馬は、個人情報を盗み出してリモートのコンピューターに送信しようとします。RAR SFXを使用して実行ファイルが圧縮されています。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に次のファイルを作成します。

%currentfolder%\Adobe.exe (183357 B, Win32/Spy.Bebloh.J)
%currentfolder%\CONLEYS_Modekontor_GmbH.pdf (23 B)

次のファイルを実行します。

%currentfolder%\Adobe.exe (183357 B, Win32/Spy.Bebloh.J)

次のファイルのコピー(コピー元、コピー先)を作成します。

%currentfolder%\Adobe.exe, %system%\%prefix%%variable%%suffix%.exe

%prefix%は次の文字列のいずれかになります。

def
dns
mem
video
win

%suffix%は次の文字列のいずれかになります。

exec
hlp
logon
mixer
mon
pack
play
setup
srv
user

%variable%には可変の文字列が入ります。

システムが起動するたびに実行されるよう、次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon]
"Userinit" = "userinit.exe, %prefix%%variable%%suffix%.exe"
[HKEY_LOCAL_MAHCINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Image File Execution Options\userinit.exe]
"Debugger" = "%system%\%prefix%%variable%%suffix%.exe"

次のレジストリーエントリーを設定する場合があります。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
"%prefix%%variable%%suffix%.exe" = "%system%\%prefix%%variable%%suffix%.exe"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
"%prefix%%variable%%suffix%.exe" = "%system%\%prefix%%variable%%suffix%.exe"

次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\Zones\3]
"1609" = 0
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\Zones\3]
"1609" = 0

次のWindows APIをフックして、入力データやメッセージを横取りします。

closesocket (ws2_32.dll)
connect (ws2_32.dll)
CreateProcessAsUserW (advapi32.dll):
CreateProcessW (kernel32.dll)
HttpOpenRequestA (wininet.dll)
HttpOpenRequestW (wininet.dll)
HttpQueryInfoA (wininet.dll)
HttpQueryInfoW (wininet.dll)
HttpSendRequestA (wininet.dll)
HttpSendRequestW (wininet.dll)
InternetCloseHandle (wininet.dll)
InternetConnectA (wininet.dll)
InternetConnectW (wininet.dll)
InternetOpenA (wininet.dll)
InternetQueryDataAvailable (wininet.dll)
InternetReadFile (wininet.dll)
InternetReadFileExA (wininet.dll)
InternetReadFileExW (wininet.dll)
PR_DestroyPollableEvent (nspr4.dll)
PR_Read (nspr4.dll)
PR_Write (nspr4.dll)
send (ws2_32.dll)
ZwSetValueKey (ntdll.dll)

次のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行します。

avant.exe
cftp.exe
coreftp.exe
explorer.exe
explorer.exe
filezilla.exe
firefox.exe
ftpte.exe
FTPVoyager.exe
iexplore.exe
iexplore.exe
maxthon.exe
mozilla.exe
msimn.exe
myie.exe
OUTLOOK.EXE
SmartFTP.exe
smss.exe
svchost.exe
thebat.exe
TOTALCMD.EXE
winlogon.exe
WinSCP.exe

次のファイルを削除します。

%currentfolder%\Adobe.exe

情報の取得

このトロイの木馬は、個人情報を盗み出します。

特定アプリケーションの使用時にさまざまな情報を収集します。

次のプログラムが影響を受けます。

Internet Explorer
The Bat! E-Mail Client
Outlook Express
Microsoft Outlook
MyIE2
Mozilla Firefox
Netscape
Avant Browser
Maxthon Browser
CuteFTP
CoreFTP
FileZilla
Total Commander
FTP Commander Pro
FTP Voyager
SmartFTP
WinSCP

次の情報を収集します。

OSのバージョン
FTPアカウント情報
メールアドレス
電子メールアカウントのデータ
特定のアプリケーション/サービスのログインユーザー名
特定のアプリケーション/サービスのログインパスワード
HTMLフォームの内容

その他の情報

このトロイの木馬は、リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

7つのURLを保持しています。通信にはHTTPプロトコルが使用されます。

次を実行します。

自身をバージョンアップする
リモートのコンピューターもしくはインターネットからファイルをダウンロードする
実行ファイルを実行する
プロキシサーバーを設定する
自身をアンインストールする
ネットワークトラフィックを改ざんする
ネットワークトラフィックをリダイレクトする
ネットワークトラフィックを監視する
Webサイトのコンテンツを改ざんする
さまざまな情報を収集する
スクリーンショットを作成する
実行中のプロセスの一覧をリモートのコンピューターに送信する

インターネットに接続されているかどうかを確認するため、次のサーバーへの接続を試みます。

www.google.com

一部のプログラムの実行を遮断します。

次のプログラムが影響を受けます。

chrome.exe
navigator.exe
opera.exe
safari.exe

次のレジストリーキーにあるさまざまな情報を保持します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\5.0]
[HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Internet Settings\5.0]