Win32/Spy.Ursnif.AM

公開日:2017年06月19日

危険度:4

定義名称 Win32/Spy.Ursnif.AMK
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Spy.Ursnif.AMK
別名 TR/AD.Ursnif.ylxp(Avira)、Trojan.Inject2.26490(Dr.Web)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Spy.Ursnif.AMの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン14954(20170217)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 これは、リモートからコントロール可能なバックドア型のトロイの木馬です。さまざまな個人情報を収集してリモートのコンピューターに送信しようとします。RAR SFXを使用して実行ファイルが圧縮されています。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に次のファイルを作成します。

%temp%\RarSFX%number1%\b.dll (535040 B, Win32/Spy.Ursnif.AO)

次のファイルを同じフォルダー内に作成します。

__tmp_rar_sfx_access_check_%number2%
b.rar
c.bat
ch.ico
u.exe

%number1-2%には可変の数字が入ります。

次のコマンドを実行します。

u.exe e -p6tygudyjf b.rar
rundll32 b.dll, DllRegisterServer
del /f /q u.exe
del /f /q b.rar
del /f /q c.bat

次のファイルのコピー(コピー元、コピー先)を作成します。

%temp%\RarSFX%number1%\b.dll, %appdata%\%variable1%\%variable2%.dll

システムが起動するたびに実行されるよう、次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\RurrentVersion\Run]
"%variable3%" = ""rundll32 %appdata%\%variable1%\%variable2%.dll",DllRegisterServer"

%variable1-3%には可変の文字列が入ります。

次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Session Manager]
"PendingFileRenameOperations" = "\??\%temp%\RarSFX%number1%\b.dll"

次のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行します。

explorer.exe
svchost.exe

情報の取得

このトロイの木馬は、さまざまな個人情報を収集します。

ユーザーのキー入力内容を記録する機能を備えています。

パスに次の文字列のいずれかが含まれているプロセスから個人情報を収集します。

java
javaw
jp2launcher
translink
bitcoin-qt
litecoin-qt
multibit
ecbl-lcl
-lbp
ecbl-cnce
ecbl-sg
ecbl-nxbp
dikeutil
elba5
ArubaSign
atlante
bit4pin
BLine
boni
busnet
ClientConfig
DVWIN32
Egisto
ev11w
fcmt
Fibu
FirmaVerifica
foe32
Inazienda2
inazloader
iTeleportConnect
kassa
KeePass
legalSign
Lohn
NBPayments
newfedra
NGClient
OEBMCC32
OEBMCL32
OlimpoClickYes
oseTokenServer
PaymMaster
Payroll
pigc
QUICKPAY
rclient
SAP Business One
sfirm
sfmain
sigla32
SIManager
SiscMaster
sleipnir
svnet
UniStream
VRNetWorld
wruncbl
sbmanager
ifrun60
palemoon
etaban
werfault
sbddesktop
treasurypaymentfilegeneration
launcher
PinManager
OppioForInternetBanking
crtmgr

次の情報を収集します。

キー入力内容
電子証明書
cookie
OSとシステム設定に関する情報
メールアドレス

収集した情報をリモートのコンピューターに送信します。

その他の情報

このトロイの木馬は、リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

1つのURLを保持しています。さまざまなIPアドレスを生成します。

通信にはHTTPプロトコルやKademliaプロトコルが使用されます。

次を実行します。

リモートのコンピューターもしくはインターネットからファイルをダウンロードする
実行ファイルを実行する
さまざまなファイルシステム操作を行う
要求されたファイルを送信する
レジストリーエントリーを登録する
レジストリーエントリーを削除する
Webカメラから動画/音声を盗み出す
スクリーンショットを作成する
自身を感染先のコンピューターから削除する
コンピューターをシャットダウン/再起動する
収集した情報を送信する

実行中のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行する場合があります。

特定のWindows APIをフックして、入力データやメッセージを横取りする場合があります。

通常、添付ファイルに悪意のあるコードが埋め込まれているスパムメールを介して拡散します。