Win32/Rootkit.Agent.OBC

公開日:2016年05月27日

危険度:1

定義名称 Win32/Rootkit.Agent.OBC
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Rootkit.Agent.OBC
別名 Trojan.MulDrop6.25529(Dr.Web)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Rootkit.Agent.OBCの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン13055(20160219)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 これは、リモートからコントロール可能なバックドア型のトロイの木馬です。rootkitによく見られる手法を用いています。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

ハードディスクのMBR(マスターブートレコード)を自身のプログラムコードで置き換えます。

次のファイルを自身のコピーまたは別のマルウェアのファイルで置き換えます。

%windir%\system32\beep.sys

次のファイルが作成されます。

%windir%\system32\beep.sys (Win32/Rootkit.Agent.NZJ, 25472 B )
%windir%\system32\WinSys.dll (Win32/Rootkit.Agent.OBE, 15360 B)

次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SoftWare\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System]
"EnableLUA" = 0

次のファイルのコピー(コピー元、コピー先)を作成します。

%comspec%, %temp%\con1866.exe %system%\drivers\beep.sys, %windir%\Help\intel.chm
%windir%\Help\intel.chm, %system%\drivers\beep.sys
%windir%\Help\intel.chm, %system%\drivers\null.sys

情報の取得

このトロイの木馬は、次の情報を収集します。

OSのバージョン
メモリのステータス
CPUの情報
MACアドレス
コンピューターのIPアドレス

収集した情報をリモートのコンピューターに送信しようとします。

その他の情報

このトロイの木馬は、次のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行する場合があります。

svchost.exe
explorer.exe

リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

4つのURLを保持しています。通信にはHTTPSプロトコルが使用されます。

次を実行する場合があります。

リモートのコンピューターもしくはインターネットからファイルをダウンロードする
実行ファイルを実行する
収集した情報を送信する
コンピューターをシャットダウン/再起動する
自身をアンインストールする

インターネットからファイルをダウンロードする場合があります。

ダウンロードしたファイルを次の場所に保存します。

%windir%\Temp\dd_vcredist%variable%.exe

%variable%には可変の文字列が入ります。

このファイルを実行します。

次のファイルを作成する場合があります。

%windir%\system32\Client.dll
%windir%\Temp\memlog
%windir%\Temp\vmmmlog

次のコマンドを実行する場合があります。

%temp%\con1866.exe /c del %malwarefilepath%