Win32/Fynloski.AN

公開日:2016年07月01日

危険度:1

定義名称 Win32/Fynloski.AN
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Fynloski.AN
別名 Trojan.Win32.Dapta.kv(Kaspersky)、Backdoor:Win32/Fynloski(Microsoft)、BDS/Fynloski.kayt(Avira)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Fynloski.ANの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン10200(20130826)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 これは、リモートからコントロール可能なバックドア型のトロイの木馬です。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に自身を次の場所へコピーします。

%variable1%\%variable2%
%systemdrive%\%variable2%
%windir%\%variable2%
%system%\%variable2%
%appdata%\%variable2%
%commonfavorites%\%variable2%
%commonstartmenu%\%variable2%
%commonprograms%\%variable2%
%personal%\%variable2%
%cookies%\%variable2%
%desktop%\%variable2%
%temp%\%variable2%

このファイルを実行します。

次のレジストリーエントリーを設定する場合があります。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
"%variable3%" = "%malwarefilepath%"
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Winlogon]
"UserInit" = "%originalvalue%, %malwarefilepath%"

これにより、システムが起動するたびに実行されるようになります。

次のファイルを作成する場合があります。

%temp%\%variable4%

このファイルを実行します。

%variable1-4%には可変の文字列が入ります。

次のレジストリーエントリーを設定する場合があります。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System]
"DisableTaskMgr" = 1
"DisableRegistryTools" = 1
"EnableLUA" = 0
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\SharedAccess\Parameters\FirewallPolicy\StandardProfile]
"EnableFirewall" = 0
"DisableNotifications" = 0
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Security Center]
"AntiVirusDisableNotify" = "1"
"UpdatesDisableNotify" = "1"
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Service\wscsvc]
"Start" = 4
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\CurrentVersion\Explorern]
"NoControlPanel" = "1"

次のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行する場合があります。

%programfiles%\Internet Explorer\iexplore.exe
%windir%\explorer.exe
notepad.exe

情報の取得

このトロイの木馬は、次の情報を収集します。

OSのバージョン
OSとシステム設定に関する情報
CPUの情報
メモリーのステータス
ユーザー名
コンピューター名
コンピューターのIPアドレス
ネットワークアダプター情報
現在の画面解像度
言語設定
特定のフォルダーへのパス

その他の情報

このトロイの木馬は、リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

1つのURLを保持しています。通信にはTCPプロトコルが使用されます。

次を実行します。

タスクバーを隠す
データをプリンターに送信する
ユーザーが表示している画面の内容を監視する
リモートのコンピューターもしくはインターネットからファイルをダウンロードする
実行ファイルを実行する
自身をバージョンアップする
ファイルをリモートのコンピューターに送信する
スクリーンショットを作成する
特定のURLに接続する
実行中のプロセスの一覧をリモートのコンピューターに送信する
実行中のプロセスを停止する
キー入力内容を記録する
コンピューターをシャットダウン/再起動する
使用されているOSの情報を収集する
Windowsのクリップボードから情報を盗み出す
ディスクデバイスとその種類の一覧をリモートのコンピューターに送信する
特定のドライブに保存されているファイルの一覧をリモートのコンピューターに送信する
さまざまなファイルシステム操作を行う
ファイルを削除する
フォルダーを削除する
フォルダーを作成する
ファイルを作成する
ファイルを移動する
サービスを開始/停止する
Webカメラから動画/音声を盗み出す
シェルコマンドを実行する
アプリケーションのウィンドウを表示する/非表示にする
キーボードやマウスによる入力を遮断する
ポートスキャンを実行する
CD/DVDドライブを開く
現在のユーザーをログオフする
レジストリーエントリーを削除する
レジストリーエントリーを登録する
収集した情報を送信する
ユーザーの入力(クリック、タップ)をシミュレートする
ダイアログウィンドウを表示する
共有ネットワークフォルダーの一覧を取得する
DoS/DDoS攻撃を仕掛ける

次のファイルにあるさまざまな情報を保持します。

%currentfolder%\%variable1%.dcp
%appdata%\dclogs\%variable2%.dc

次のレジストリーキーにあるさまざまな情報を保持します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\DC3_FEXEC]
[HKEY_CURRENT_USER\DC2_USERS\%variable3%]

%variable1-3%には可変の文字列が入ります。

実行中のプロセスを隠します。

感染したコンピューターにアクセスするための手段として使用される場合があります。