Win32/Filecoder.Erebus.A

公開日:2017年09月20日

危険度:1

定義名称 Win32/Filecoder.Erebus.A
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Filecoder.Erebus.A
別名 Ransom.CryptXXX(Symantec)、Trojan-Ransom.Win32.Erebus.a(Kaspersky)、Ransom:Win32/Erebus.A!rsm(Microsoft)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Filecoder.Erebus.Aの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン14901(20170208)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。ファイルを復号するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に自身を次の場所にコピーします。

%malwarefolder%\%variable%.exe

%variable%には可変の文字列が入ります。

次のファイルを作成します。

C:\Users\%username%\Desktop\README.html
C:\Users\%username%\Documents\README.html
C:\Documents and Settings\%username%\Desktop\README.html
C:\Documents and Settings\%username%\Documents\README.html
%temp%\y

次のレジストリーエントリーを削除します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\mscfile]

次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\mscfile\shell\open\command]
"(Default)" = "%malwarefolder%\%variable%.exe"

次のソフトウェアをインストールします。

Tor

インターネットからファイルをダウンロードしようとします。

ダウンロードしたファイルを次の場所に保存します。

%temp%\tor.zip

このアーカイブファイルのコンテンツを次のフォルダーに抽出します。

%temp%\tor\Tor

ペイロード情報

このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。

次のいずれかの拡張子を持つファイルをローカルドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブで探します。

.3fr
.accd
.ai
.arw
.bay
.cdr
.cer
.cr2
.crt
.crw
.dbf
.dcr
.der
.dng
.doc
.docm
.docx
.dwg
.dxf
.dxg
.eps
.erf
.jpe
.jpg
.kdc
.mdb
.mdf
.mef
.mp3
.mp4
.mrw
.nef
.nrw
.odb
.odm
.odp
.ods
.odt
.orf
.p12
.p7b
.p7c
.pdd
.pef
.pem
.pfx
.png
.ppt
.pptm
.pptx
.psd
.pst
.ptx
.r3d
.raf
.raw
.rtf
.rwl
.srf
.srw
.txt
.wb2
.wpd
.wps
.xlk
.xls
.xlsb
.xlsm
.xlsx

パスに次の文字列が含まれているファイルは暗号化しません。

Windows

目的のファイルを見つけたら、そのコンテンツを暗号化します。

暗号化にはAES-256のアルゴリズムが使用されます。

暗号化ファイルの拡張子は次のように変更されます。

%variableextension%

%variableextension%には可変の文字列が入ります。

ファイルを復号するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。

元のファイルを復元できないようにするため、すべてのボリュームシャドウコピーを削除します。

次のファイルを作成します。

C:\Users\%username%\Desktop\README.html
C:\Users\%username%\Documents\README.html
C:\Documents and Settings\%username%\Desktop\README.html
C:\Documents and Settings\%username%\Documents\README.html

このファイルをWebブラウザーで開きます。

このファイルには次のテキストが記述されています。

次のダイアログボックスを表示します。

情報の取得

このトロイの木馬は、次の情報を収集します。

ハードウェアの情報
コンピューターのIPアドレス
国コード

収集した情報をリモートのコンピューターに送信しようとします。

その他の情報

このトロイの木馬は、リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

7つのURLを保持しています。通信にはSOCKS5プロトコル、HTTPプロトコル、TORプロトコルが使用されます。

次の番号のSOCKS5ポートを開きます。

9050

次のファイルを実行します。

%system%\System32\eventvwr.exe
%temp%\tor\Tor\tor.exe

システムの管理者権限を取得しようとします。

ユーザーアクセス制御(UAC)をバイパスすることができます。

デバッガやその他の解析ツールの存在を検出する能力を備えています。

実行先が特定の仮想環境内であることを検出すると、自身の実行を終了します。