Win32/Filecoder.BTCWare.A

公開日:2018年03月01日

危険度:1

定義名称 Win32/Filecoder.BTCWare.A
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/Filecoder.BTCWare.A
種別 トロイの木馬、ランサムウェア
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Filecoder.BTCWare.Aの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン15245(20170412)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。ファイルを復号するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に自身を次の場所にコピーします。

%appdata%\mtrea.exe

システムが起動するたびに実行されるよう、次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
crptxxx" = "%appdata%\mtrea.exe"

ペイロード情報

このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。

次の拡張子を持つファイルを探します。

拡張子一覧開く

.1c
.3fr
.3fr
.accdb
.accdb
.ai
.ai
.arw
.arw
.bay
.bay
.cdr
.cer
.cr2
.crt
.crw
.dbf
.dcr
.der
.dng
.doc
.docm
.docx
.dwg
.dxf
.dxg
.eps
.erf
.indd
.jpe
.jpg
.kdc
.mdb
.mdf
.mef
.mk
.mp3
.mp4
.mrw
.nef
.nrw
.odb
.odc
.odm
.odp
.ods
.odt
.orf
.p12
.p7b
.p7c
.pdd
.pdf
.pdf
.pef
.pem
.pfx
.ppt
.pptm
.pptx
.psd
.pst
.ptx
.r3d
.rar
.raw
.rtf
.rw2
.rwl
.sr2
.srf
.srw
.tif
.wb2
.wma
.wpd
.wps
.x3f
.xlk
.xls
.xlsb
.xlsm
.xlsx

目的のファイルを見つけたら、そのコンテンツを暗号化します。

暗号化にはAES-256のアルゴリズムが使用されます。

暗号化ファイルの名前は次のように変更されます。

%originalfilepath%.crptxxx

ファイルを復号するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。

匿名ネットワークであるTorネットワーク経由で通信します。2つのURLを保持しています。

次のファイルを作成します。

%startup%\decrypt.txt

これにより、システムが起動するたびにファイルが実行されるようになります。

このファイルには次のテキストが記述されています。

Warning!
All your files are encrypted with AES algorithm
For decrypt use this instructions:
Download tor browser
Run tor and go to: http://%removed%.onion/
Or you can use tor2web services
http://%removed%.onion.to/
in log panel enter your id (%variable%)
follow next instructions
if server is down, try connect later
locker version 1.0.0

%variable%には可変の文字列が入ります。

その他の情報

実行中のプロセスの名前に次の文字列が含まれている場合、このトロイの木馬は何もしません。

VBoxService.exe

次のファイルを削除します。

%appdata%\mtrea.exe:Zone.Identifier

次のレジストリーエントリーを作成します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\mscloq]
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\mscfile\shell\open\command]
"(Default)" = "vssadmin delete shadows /all"

次のコマンドを実行します。

eventvwr

次のレジストリーエントリーを削除します。

[HKEY_CURRENT_USER\Software\Classes\mscfile\shell\open\command]

名前に次の文字列のいずれかが含まれているプロセスを終了させます。

eventvwr
eventvwr.exe