Win32/CoinMiner.YB

公開日:2017年08月25日

危険度:2

定義名称 Win32/CoinMiner.YB
シグネチャ検査による結果だった場合 Win32/CoinMiner.YB
別名 Trojan.Win32.Miner.azd(Kaspersky)、Trojan:Win32/Adylkuzz.D(Microsoft)、Trojan.Adylkuzz(Symantec)
種別 トロイの木馬
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/CoinMiner.YBの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。
対応時期 バージョン11808(20150618)以降
影響を受けるプラットフォーム Microsoft Windows
概要 このトロイの木馬は、感染先のコンピューターのハードウェアリソースを使用してMoneroとして知られるデジタル通貨のマイニングを実行します。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。

検出した場合の対処方法

常駐監視を行っている各検査プログラムによって検出された場合は、駆除もしくは削除を行ってください。駆除もしくは削除ができない場合は、Windows のシステムの復元により修復しなければならない可能性があります。

対象のファイルが身に覚えのないファイル名の場合は、そのファイル自身がウイルスそのものである可能性が高いので、駆除ではなくすべて削除をしてください。これにより2次感染、3次感染を防げます。また、自分が作成したデータ等に感染していた場合は、駆除が可能な場合もありますが、駆除のボタンが押せない状態もしくは駆除しても失敗する場合は、すでに元のデータの戻せない状態までデータが書き換えられている場合もあります。この場合もすべて削除してください。

解説での表記(用語)について

以下の説明文では、環境変数を利用して各ファイルやディレクトリへのパスを表記しています。

例:
%windir% : Windowsオペレーティングシステムがインストールされたディレクトリのパス(インストール時の設定により異なる場合があります)。
%system% : %windir% のサブディレクトリである"System"や"System32"のパス。
%malwarefilepath% : マルウェアプログラムまでのパス。
%malwarefilename% : マルウェアプログラムまでのファイル名。

その他に関しては、以下のページも参考にしてください。
Microsoft Malware Protection Center - Malware help
Common Folder variables

解説

侵入(インストレーション)について

このトロイの木馬は、実行時に自身を次の場所にコピーします。

%programfiles%\Hardware Driver Management\windriver.exe

次の名前を使用して自身をシステムサービスとして登録します。

Windows Hardware Driver Management

次のレジストリーエントリーを作成します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet001\services\WHDMIDE]
"Description" = "Windows Hardware Driver Management Instrumentation Driver Extensions"
"DisplayName" = "Windows Hardware Driver Management"
"ErrorControl" = 0
"FailureActions" = 100E0000000000000000000001000000140000000100000060EA0000
"ImagePath" = "%programfiles%\Hardware Driver Management\windriver.exe --server
" "ObjectName" = "LocalSystem"
"Start" = 2
"Type" = 16
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\services\WHDMIDE]
"Description" = "Windows Hardware Driver Management Instrumentation Driver Extensions"
"DisplayName" = "Windows Hardware Driver Management"
"ErrorControl" = 0
"FailureActions" = 100E0000000000000000000001000000140000000100000060EA0000
"ImagePath" = "%programfiles%\Hardware Driver Management\windriver.exe --server"
"ObjectName" = "LocalSystem"
"Start" = 2
"Type" = 16

これにより、システムが起動するたびに実行されるようになります。

次のレジストリーエントリーを設定します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\services\Winmgmt\Parameters]
"ServiceDllUnloadOnStop" = %variable%

%variable%には0から1までの数字が入ります。

次のレジストリーエントリーを削除します。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\ControlSet002\Control\WDI\Config]
"ServerName"

インストール終了後、元の実行ファイルを削除します。

情報の取得

このトロイの木馬は、次の情報を収集します。

インストールされているアンチウイルスソフトウェア
コンピューターのIPアドレス
マルウェアのバージョン
OSとシステム設定に関する情報
CPUの情報
使用中のメモリ量

収集した情報をリモートのコンピューターに送信しようとします。

その他の情報

このトロイの木馬は、リモートのコンピューターもしくはインターネットからデータや命令を受け取ります。

6つのURLを保持しています。TCP 1031番ポートで待ち受けを行います。通信にはHTTPプロトコルが使用されます。

残りのコンポーネントをダウンロードします。

ファイルは次の場所に保存されます。

%programfiles%\Microsoft.NET\Primary Interop Assemblies\LMS.dat

このファイルを実行します。

次のファイルを作成する場合があります。

%programfiles%\Hardware Driver Management\id.txt
%temp%\%variable%_Miner_.log

%variable%には可変の文字列が入ります。

感染先のコンピューターのハードウェアリソースを使用してMoneroとして知られるデジタル通貨のマイニングを実行します。

次のコマンドを実行する場合があります。

cmd.exe /c taskkill /f /im LMS.dat