Win32/Filecoder.FH
公開日:2016年03月17日
危険度:3
定義名称 | Win32/Filecoder.FH |
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シグネチャ検査による結果だった場合 | Win32/Filecoder.FH |
別名 | Trojan-Ransom.Win32.Scatter.a(Kaspersky)、Trojan.Encoder.2843(Dr.Web)、FileCryptor.EUF.trojan(AVG)、Win32:Stoberox-A(Avast) |
種別 | トロイの木馬 |
アドバンスドヒューリスティック検査による結果だった場合 | このオリジナルのトロイを利用した新種、亜種が検出された場合は、「NewHeur_PE」もしくは「Win32/Filecoder.FHの亜種 トロイの木馬」という名称で警告が出ます。 |
対応時期 | バージョン12508(20151103)以降 |
影響を受けるプラットフォーム | Microsoft Windows |
概要 | このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。ファイルを復号化するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。詳しい活動内容については、下記をご参照ください。 |
解説
侵入(インストレーション)について
このトロイの木馬は、実行時に自身を次の場所にコピーします。
%variable1%\¬%variable2%\¬%variable2%.%variable3%
%variable1%は次の文字列のいずれかになります。
%appdata%
%personal%
%templates%
%variable2%には、次のレジストリーエントリーから取得した値が入ります。
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Uninstall]
%variable3%は次の文字列のいずれかになります。
.cmd
.exe
.pif
.scr
次のファイルのコピー(コピー元、コピー先)を作成します。
%system%\*.dll, %variable1%\%variable2%\%variable2%\*.dll
次のファイルを作成します。
%variable1%\%variable2%\%variable2%.lnk
作成されたファイルは悪意のあるファイルへのショートカットです。
次のレジストリーエントリーを設定する場合があります。
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
"%variable2%" = "%variable4%"
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run]
"%variable2%" = "%variable4%"
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Explorer\Run]
"%variable2%" = "%variable4%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows]
"load" = "%variable4%"
[HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Windows]
"load" = "%variable4%"
これにより、システムが起動するたびに実行されるようになります。
%variable4%は次の文字列のいずれかになります。
%variable1%\%variable2%\%variable2%.lnk
%variable1%\%variable2%\%variable2%.%variable3%
次のプロセスに自身のプログラムコードを挿入して新たなスレッドを作成、実行します。
explorer.exe
svchost.exe
tasklist.exe
インストール終了後、元の実行ファイルを削除します。
感染について
このトロイの木馬は、自身のコピーをリムーバブルドライブまたはリモートドライブに作成する場合があります。
自身を次の場所にコピーします。
%drive%\$RECYCLE.BIN\{%variable5%}\%variable6%.%variable7%
%variable5-6%には可変の文字列が入ります。
%variable7%は次の文字列のいずれかになります。
.cmd
.exe
.pif
.scr
このファイルは、Windows Explorer内で表示されないようにするため、システム(S)属性と隠し(H)属性が設定される場合があります。
リムーバブルドライブとリモートドライブのルートフォルダー内のファイルとフォルダーを検索します。
条件に合致するファイルを見つけたら、新たなファイルを作成します。
新たに作成されるファイルの名前には、検出されたフォルダーの名前が利用されます。ファイルの拡張子は".lnk"になります。
作成されたファイルは悪意のあるファイルへのショートカットです。
ペイロード情報
このトロイの木馬は、固定ドライブやリムーバブルドライブ、ネットワークドライブのファイルを暗号化します。
ファイルを復号化するためのパスワードや手順と引き換えに、特定の条件に従うようユーザーに要求します。
次の拡張子を持つファイルをローカルドライブとネットワークドライブで探します。
.1cd
.cd
.cdr
.dbf
.doc
.dwg
.jpeg
.jpg
.mdb
.pdf
.psd
.rtf
.sqlite
.xls
.zip
パスに次の文字列のいずれかが含まれていないフォルダーのみが検索されます。
abbyy
adobe
amd64
application
autograph
avatar
avatars
cache
clipart
com_
common
csize
framework64
games
guide
intel
internet
library
manual
maps
msoffice
profiles
program
recycle
resource
resources
roaming
sample
setup
support
template
temporary
texture
themes
thumbnails
uploads
windows
そのファイルのコンテンツを暗号化します。
暗号化にはBlowfishやRSAのアルゴリズムが使用されます。
暗号化ファイルの拡張子は次のように変更されます。
.vault
次のファイルを作成します。
%appdata%\userdata.ini
%appdata%\confirmation.key
%appdata%\vault.key
%templates%\vault.key
%desktop%\vault.key
%fixeddrive%\vault.key
%appdata%\vault.hta
%templates%\vault.hta
%fixeddrive%\vault.hta
%startup%\vault.hta
%desktop%\vault.hta
次のファイルのコピー(コピー元、コピー先)を作成します。
%appdata%\confirmation.key, %templates%\confirmation.key
次のファイルを削除する場合があります。
%appdata%\userdata.ini
次のコマンドを実行します。
mshta.exe %desktop%\vault.hta
次のダイアログボックスを表示します。
情報の取得
このトロイの木馬は、次の情報を収集します。
コンピューター名
ユーザー名
言語設定
データは、次のレジストリーキーに保存されます。
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}]
"%variable9%" = "%encrypteddata%"
%variable8-9%には可変の文字列が入ります。
その他の情報
このトロイの木馬は、次のレジストリーエントリーを設定する場合があります。
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft]
"(Default)" = "%data%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}]
"%variable10%" = "%pubkey%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}\0]
"%encrypted_xls_doc_rtf_filepath%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}\1]
"%encrypted_pdf_filepath%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}\2]
"%encrypted_psd_dwg_cdr_filepath%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}\3]
"%encrypted_cd_mdb_1cd_dbf_sqlite_filepath%"
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}\4]
"%encrypted_jpg_jpeg_zip_filepath%"
次のレジストリーエントリーを削除する場合があります。
[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Classes\lnkfile\IsShortcut]
[HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Ext\Settings\{%variable8%}]
次のコマンドを実行します。
vssadmin.exe delete shadows /all /quiet
bcdedit /set {default} bootstatuspolicy ignoreallfailures
1つのURLを保持しています。通信にはHTTPプロトコルが使用されます。
インターネットからファイルをダウンロードして実行する場合があります。